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【データで選出7・8月月間MVP】オリックス・山本由伸がまたも投手トップ。ロッテ・藤原恭大は惜しくもトップを逃す

2021/09/06

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侍ジャパンの柳田、鈴木がリーグトップ。ロッテ・藤原は打撃で柳田を上回るはたらき

 評価には(1)セイバーメトリクスの一手法を用いて選手のはたらきを得点換算し、(2)同じ出場機会を「平均的な成績の選手」が担った場合のはたらき(得点)を基準(=0)に置き、どれだけ上積みをつくったかという推定値を算出して行った。「平均的な成績に対して大きな差をつくり」、また「その状態で多くの出場機会を重ねていく」ことで増えていく数値なので、質と量、両面での貢献を見ることとなる。図中の[]で囲んだ項目でグラフが右に伸びているものはリーグ平均以上、左に伸びているものは平均以下だった数値だ。


 
 まずは野手から見ていく。パ・リーグでは柳田悠岐(ソフトバンク)、セ・リーグでは鈴木誠也(広島)がそれぞれ14.4点、15.4点と、最高の貢献を果たした。侍ジャパンの主軸2人が、五輪をはさんだ期間で最も素晴らしいはたらきを見せていたようだ。
 
 柳田、鈴木ともに他選手に大きな差をつくったのは打撃だ。セ・リーグの鈴木は出塁率が.455、長打率は今回ランキング入りした選手の中で図抜けた数字となる.700をマークした。9本塁打はリーグトップタイ、18四球もリーグトップなど、打撃における多くの分野で最高レベルの成績を残した。鈴木の打撃はリーグ平均レベルの打者に比べ、13.1点多くチームの得点を増やしたと評価できる。
 
パ・リーグの柳田は本塁打こそ5本にとどまったが、走者を還すだけでなく、出塁率.437と、塁に出る役割としても素晴らしいはたらきを見せた。柳田の打撃はリーグ平均レベルの打者に比べ、平均11.1点多くチームの得点を増やしたと推定できる。
 
 その柳田より打撃面で優れたはたらきを見せたのが、7月から出場機会を増やした藤原恭大(ロッテ)だ。藤原はリーグ最多の9二塁打をマークしたほか、.439と高出塁率をマーク。出塁・長打両面における優れたはたらきにより、打撃評価だけで見れば柳田をも上回る11.9点を記録した。

三塁コンバートのソフトバンク・栗原が好成績。西武・源田は1試合2失策でもリーグ最高

 守備評価には同じイニングを守った平均的な同ポジション選手と比較してどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)を使用する。しかしUZRは同ポジションの選手との守備を比較する指標であるため、今回のように異なるポジションの選手を比較する際は、ポジション間の補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。この守備位置補正をUZRに加えたものが守備貢献となる。
 
 この分野では、栗原陵矢(ソフトバンク)が5.1点と好成績を残している。栗原は本職が捕手の選手だが、昨季外野で出場機会を増やした。ただ今季はさらに三塁手にも挑戦。特にこの7・8月はその三塁で素晴らしいはたらきを見せたようだ。打力が注目されがちな選手だが、慣れない三塁守備でも力を発揮している。
 
 ランキング外では毎度お馴染みの源田壮亮(西武)がこの期間でもパ・リーグトップの守備貢献を記録。8月18日には珍しく1試合2失策とミスを連発してしまったが、それを含めてもなおチームの失点を多く防いだという評価がなされている。セ・リーグでは広島の中堅を守る野間峻祥が好成績を残していた。

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