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「ライアン」小川泰弘、復活の陰に真中監督の助言――14年ぶりVへ、真のエースとなれるか【新・燕軍戦記#12】

前半戦の4位から巻き返し、混戦の続くセリーグで単独首位に立っている東京ヤクルトスワローズ。その要因の1つとして挙げられるのが、一昨年の最多勝投手で昨年、今年と開幕投手も務めた小川泰弘が、後半戦に入って6連勝と見事に復活したことだ。

2015/09/15

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巨人・阿部の「今年は真っすぐが来てない」もヒントに

『女房役』の中村はさらに2つ、小川復活の要因を挙げる。1つは──。
 
「カットボールの割合を減らしたことですかね。前は『困ったらカット』的な感じで使ってたんで、それをちょっと減らしました。今は真っすぐ(ストレート)、スライダー、カーブを軸にして、その中でフォークだったりカットだったり速い変化球を入れています。それはライアンから言ってきたことなんですけど、たぶん(カットを多投することで)体が横振りになってたりとか、そういうのがあると思います」
 
 そして、もう1つは小川にとってはいわば生命線ともいうべきストレート。これが後半戦に入ってグンと良くなっているという。
 
「オールスターの時に、巨人の阿部(慎之助)さんに『今年のライアン、どうですかねぇ?』って聞いてみたんですよ。そしたら『真っすぐが来てないよねぇ』っていう話をされてたんで、それは本人にも言ったんです。まあ、単純に腕が振れるようになったり、バランスが良くなったりとか、あとは無駄なことを考えずにテンポ良くするだけでも、真っすぐが走ってきてるのかなっていうのはありますね。やっぱりライアンの場合、勝ってる時は真っすぐがいいんで、真っすぐが走るようになったのも1つの要因だと思います」
 
 しかし、中5日で先発マウンドに上がるはずだった9月8日の横浜DeNA戦(神宮)が雨のため中止になると、スライド先発が予定された翌9日の同カードも中止。結果的に中9日空けての登板となった12日の中日戦(ナゴヤドーム)では、6回3失点で後半戦8試合目にして6度目のクオリティ・スタートを記録しながら、2対3で敗れて連勝はストップ。最下位のチームを相手に、手痛い後半戦初黒星を喫した。
 
 それでもヤクルトは翌13日の中日戦(ナゴヤドーム)は、しぶとく終盤に追いついて引き分けに持ち込み、2位阪神、3位巨人に0.5ゲーム差で再び単独首位に立った。シーズンもいよいよ残すところ16試合。小川は「自分がエースだとは思っていないですけど、(先発投手陣の)中心で回らなきゃいけないんだっていうのはあります」と言うが、真のエースへの階段を上るためには、残りの試合で勝ち星を重ねてチームを14年ぶりのリーグ制覇に導くしかない。

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