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捕球後にダグアウトに落下…三塁走者が生還 アスレチックスが“泥臭い1点”で勝利もぎ取る

2019/08/30

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Getty Images



「ルールは知っていた」「野手にできることはない」

 オークランド・アスレチックスとカンザスシティ・ロイヤルズが29日(日本時間30日)にロイヤルズの本拠地コウフマン・スタジアムで対戦。試合はアスレチックスが9-8で勝利したが、“あるプレー”が話題になっている。
 
 アスレチックスは8-7とリードする9回、1死二、三塁のチャンスでカーバン・ジョセフ内野手がロイヤルズのスコット・バーロウ投手から三塁ファールグラウンド方向へ飛球を打ち上げると、ロイヤルズの三塁手チェスラー・カスバート内野手がダグアウト端の階段付近で捕球。カスバートは直後にバランスを崩して階段下までジャンプし怪我などはなかった。
 
 このプレーに対して、クリス・シーガル三塁審判は「アウト」ではなく「ボールデッド」を宣告した。「野手が捕球後にフィールド外に足を踏み入れたり落下した場合、球がダグアウトに入ったもの」とし、規定により塁上の走者はそれぞれ1つずつ進塁できる。これに伴って、シーガル審判は三塁走者だったセス・ブラウン外野手の得点を認めた。
 
 アスレチックスは9-7と2点差に広げ、直後に1点を返されたものの、結果的に9回の1点が勝利に繋がる形となった。
 
 米公式サイト『MLB.com』によれば、アスレチックスのボブ・メルビン監督は9回の得点シーンについて「私はそのルールを知っていたよ。だけどあまり頻繁には見ないね」とコメント。「シーガル審判が正しかった。明らかに大きな得点だった」と胸をなでおろしている。
 
 また、ホームに生還したブラウンも「初めての経験だよ。本当に良かったね」と話したが、一方の捕球したカスバートは当該のルールについては知らなかったもよう。「捕球する時に自分がどこにいるのか辺りを見下ろしたが、タフなプレーだった。ダグアウトに落ちないように本能で(階段の)手すりに捕まろうとしたが、それが唯一自分にできることだったよ」と振り返っている。
 
 もちろん、捕球しなければ「ファール」となっていたプレーだが、ロイヤルズのネッド・ヨースト監督は「カスバートがルールを知っていたとしても、あの場面で野手ができることはあまりない」とカスバートの必死のプレーを擁護。カスバートも「毎日、野球を学んでいる」と話しており、自身のプレーから気持ちを切り替え前向きな姿勢を示した。
 
 勝利したアスレチックスにとっては、ワールドカードでのプレーオフ出場へ向けて、その圏内をキープする貴重な1勝。派手さはないものの、“泥臭いプレー”で掴んだ1点と1勝は、今後の勝利にも繋がっていくだろうか。

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