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「30代だから」「剛速球投手が欲しい」未契約の15年CY賞左腕の前に立つ大きすぎる壁

2019/03/05

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シーズンオフ後半は状況一変…各球団が費用抑える傾向に

 ヒューストン・アストロズからフリーエージェント(FA)となって、未だ所属先が決まらない通算76勝のダラス・カイケル投手。2015年のサイ・ヤング賞を獲得した左腕の契約が何故これほどまで長引いているのか、米公式サイト『MLB.com』が4日(日本時間5日)に見解を示している。
 
 カイケルは昨季12勝11敗、防御率3.74の成績だったが、2015年には20勝8敗、防御率2.48という抜群の安定感を見せて自身初となるサイ・ヤング賞を獲得した。現在31歳でこれからさらなる飛躍が期待されるところだが、3月上旬になっても未だに今季の所属先が決まっておらずピンチに陥っている。
 
 同サイトはこのような事態になった理由について独自の見解を示している。まず、アストロズがカイケルに対して複数年の契約延長を求めなかったことについては「チームが30代の選手に対して長期契約を申し出ることに慎重になった」からだと指摘。
 
 これにより、30代に差し掛かった現在はオフに1年1790万ドル(約20億円)のクオリファイングオファーを出すのが精一杯。結果、これを拒否した昨季年俸1320万ドル(約14億5200万円)のカイケルに対して球団がさらなるオファーを出すことはなかった。
 
 さらに、他球団との契約にも至っていないことについては、「多くの球団が剛速球投手を求めている」とメジャーリーグの現状を指摘している。カイケルの昨季の速球(フォーシーム)の平均球速は90.2マイル(約145キロ)だったが、先発投手でも平均93~95マイル(約150~153キロ)を投げる投手が多い現代では比較的遅い部類に入る。
 
 このオフに36歳の左腕J.A.ハップ投手が昨年12月にニューヨーク・ヤンキースと2年総額3400万ドル(約37億4000万円)で再契約を結んだが、ハップの速球の平均球速が92.7マイル(約149キロ)だった。これを受けて、同サイトは「ハップがこのような契約を結び、カイケルも同じような内容の取引を受けやすくなったとしても、現在ではその契約を持ちかけるチームはおそらく減少しているだろう」と、球団が費用をかけない傾向になったと解説している。
 
 具体的には、「ハップが契約を交わした時は多くの資金を持った球団がたくさんあったが、現在の状況は当時と大きく異なる。オフシーズンの後半でハップが手に入れた内容を費やすチームははるかに少なくなっている。予算を使い切ったり、多くの税金を払うという壁があるからだ」とし、球団が戦力補強をほぼ完了させ、シーズンに向けて組織としての体勢を整える段階に入ったことで、高額の契約を持ちかける余裕がないとの見方示した。
 
 マニー・マチャド内野手、ブライス・ハーパー外野手という目玉の選手が大型契約を結んだ一方で、カイケルや通算333セーブを誇るクレイグ・キンブレル投手など実績ある投手が未だにFA市場に残っているメジャーリーグ。市場が長期にわたって停滞した事によって、その“しわ寄せ”がいよいよ今後の野球人生そのものに影響を及ぼしかねないところにまできている。