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今季サイ・ヤング賞、メッツ・デグロムとレイズ・スネルに決定 史上最少の勝星、投球回数で初受賞

2018/11/15

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 MLBは14日(日本時間15日)、シーズン最高投手に贈られるサイ・ヤング賞の今季受賞者を発表した。ナショナル・リーグはニューヨーク・メッツのジェイコブ・デグロム投手、アメリカン・リーグはタンパベイ・レッズのブレイク・スネル投手に決定。いずれも初受賞となった。
 
 デグロムは今季32試合に登板、217回を投げて防御率1.70、奪三振269で10勝9敗を記録。投票権を持つ30人の記者のうち29人から1位票を獲得した。デグロム登板時のメッツの援護率は、メジャーワースト3位となる3.57で、サイ・ヤング賞で従来重視されていた勝ち星は伸びなかった。これにより、受賞を逃すとの予想もあったが、今季メジャートップの防御率、投球回数は2位、奪三振数は4位という圧倒的な数字が評価され、サイ・ヤング賞史上最も少ない勝ち星での受賞となった。
 
 公式サイト『MLB.com』によると、デグロムは「競争するのが大好きなんだ。5日に1回、僕の日がやってくる。なるべく長いことマウンドに立ち、チームを勝たせるのが僕の仕事だ」とコメント。全32登板のうち19度、5回以上を投げて1失点以下に抑えた仕事人の意識の高さがあらわれた。
 
 同サイトは、デグロムが評価された背景には、目に見える勝ち星よりも様々な指標が重要視されている事実があると解説。今季わずか10勝に留まりながら、WAR(同リーグの平均的な選手が同ポジションで代わりに出場した場合よりどのくらい多くチームの勝利数を増やしたか表す数字)は驚異の10.0を記録したことに触れている。
 
 スネルは今季31試合に登板、189回2/3を投げて防御率1.89、奪三振221で21勝5敗の好成績。防御率はデグロムに次ぐメジャー2位、そして今季メジャー唯一の20勝超えを果たした。記者投票では、スネルが総合169ポイントを獲得したのに対し、2位につけたヒューストン・アストロズのジャスティン・バーランダー投手は154ポイントと、大接戦の末の決着となった。21勝という成績にもかかわらず接戦となった要因には、投球回数の少なさが挙げられる。ストライキのないシーズンでは史上最も少ない投球回数でのサイ・ヤング賞投手となった。
 
 スネルが所属するレイズでは、リリーフ陣を積極的に起用するスタイルを採用しており、スネル自身も早いイニングでの降板が多くなった。これは現代野球における投手起用のセオリーに変化が訪れていることを象徴している。優秀な先発投手に全てを任せて酷使するのではなく、リリーフ陣をうまく起用しながらシーズンを戦い抜くのが球界の風潮となっているのだ。
 
 勝ち星と投球回数では対照的な数字を残し、ともに様々な議論を呼んだ今年のサイ・ヤング賞投手2人。メジャーリーグの歴史における投手評価の分岐点となる1年となるかもしれない。