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前田健太、今季6勝目も早めの交代は三振が一因? イニング消費を阻む“球数の呪縛”

2018/07/12

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2度の3者凡退。走者背負っても動じない安定感光る

 ロサンゼルス・ドジャースの前田健太投手が11日(日本時間12日)、敵地ペトコ・パークでのサンディエゴ・パドレス戦に先発登板し、6回途中9奪三振1失点の好投で今季6勝目を挙げた。
 
 前田は初回、先頭打者に中前安打を許した後、カルロス・アスアヘ内野手にタイムリー二塁打を打たれ、いきなり先制を許す展開となった。
 
 しかし、ドジャースが3回に3得点を挙げ逆転に成功した後は前田らしい安定感のある投球が光る。3回、4回を3者凡退に抑えると、5回は1死一塁と走者を背負うも併殺切り抜け無失点。
 
 6回も1死一塁の場面を迎えたが、動じることなく3番ウィル・マイヤーズ内野手をスライダーで見逃し三振を奪い、これがこの日9つ目の三振となった。
 
 ここで降板となった前田は、この日5回2/3、92球(ストライク62球)を投げ被安打4、与四球1、奪三振9、失点1の成績で防御率は3.13。ドジャースは4-2で勝利し、前田は今季6勝目を挙げた。

初球ストライクは17度。優位な勝負持ち込むも三振に球数費やす

 前田は、第2子誕生に伴い取得していた「産休リスト」から明け最初のマウンド。初回に先頭打者からの連打で先制を許したが、その後は徐々に本来の力を発揮した。
 
 2回に2三振を奪い、前の回から4者連続三振を記録すると、味方が逆転した後もキレのあるチェンジアップとスライダー、そして速球を武器に打者を次々に打ち取っていく。
 
 この日光ったのは、まず初球ストライクの数だ。マウンドを降りるまで打者21人と対戦し、そのうち17度の初球ストライクを記録。全体でもストライク率は67.4%と高く、各打者との勝負をほとんど優位な形で組み立てた。
 
 そして、奪った三振は9つ。2ケタには届かなかったが、初回2アウト目から2回2アウト目にかけての4者連続、3回3アウト目から4回2アウト目にかけての3者連続を記録するなど、パドレス打線につけ入る隙を与えなかった。
 
 また、三振の決め球はチェンジアップが6、スライダーが2、速球が1とチェンジアップで奪った三振が最も多い。決め球がほとんど変化球だったことから、見逃し三振が2つなのに対し空振り三振は7つと極端に多かった。
 
 しかし、投球数92球で6回途中降板を余儀なくされた理由の1つには、この三振の多さも影響したかもしれない。
 
 最少でも3球を要する三振だが、この日3球三振を取ったのは、初回のエリック・ホズマー内野手に対する1度のみ。その一方で、5球以上を要して奪った三振は5つだった。ちなみに、この日初球で打者を打ち取ったのは1度しかない。初球ストライクは多いはずなのに、早めに打ち取れなかったのは痛い。
 
 今季これまでに1試合9奪三振を記録した試合は、この日を含めて4度あるが、最初の2度はいずれも7回までを投げ切っており、それぞれの投球数は84球、97球と少ない。
 
 6勝目を挙げ、良い流れで前半を折り返すことになった前田。波に乗るチームにとって、この男が長いイニングを投げ勝ち星を伸ばすことが、今後のチームの行方を左右するだろう。