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大谷、データが明かす4勝目への“分岐点” 「最高の三振」と相手が仕掛けた「勝負」とは

2018/05/21

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7回を終えて99球。監督の決断は「続投」

 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が20日(日本時間21日)、本拠地エンゼル・スタジアムで行われたタンパベイ・レイズ戦に先発登板。8回途中2失点の好投で今季4勝目を挙げた。
 
 大谷は初回、2死から四球を与えるも無失点で立ち上がると、2回も1死から二塁打を浴びピンチを背負いながらも連続三振で切り抜ける。3回に先頭の9番ジョニー・フィールド外野手に先制ソロ本塁打を浴び1失点を喫したが、後続を3者連続で凡退に抑えると、そこから6回まで12者連続アウトを記録。
 
 7回を無失点で終えた時点で大谷の投球数は99球、スコアは4-1でエンゼルスがリード。マイク・ソーシア監督が下した決断は「続投」だった。メジャーで自身初めてとなる8回のマウンドに登った大谷は、先頭のフィールドにエンタイトル二塁打を浴び無死二塁のピンチを迎える。直後に暴投で走者を三塁に進め、内野ゴロの間に生還を許しスコア4-2とされる。
 
 続くクロンは空振り三振に仕留め2アウトとし、ジョーイ・ウェンドル内野手に右前安打を打たれたところで、ソーシア監督が交代を告げ、大谷はスタンディングオベーションを受け帽子を取りながらマウンドを降りた。
 
 大谷は、この日自身メジャー最長7回2/3を投げ、球数は自身最多を更新する110球(ストライク68球)。被安打6、与四球1、奪三振9の成績。2番手のジャスティン・アンダーソン投手が大谷の出した走者の生還を許さなかったため、失点は2のままで防御率は3.35となった。
 
 エンゼルスは8回に1点を追加してそのまま5-2で勝利し、今季最長だった連敗は「5」でストップ。そして、好投した大谷は登板2戦ぶりとなる4勝目を挙げた。

ポイントになった4回の投球。以降の制球ガラリ一変

 大谷が“一発”で目が覚めた。3回にフィールドに94.2マイル(約152キロ)の速球を捉えられセンター左へ先制ソロ本塁打を浴びると、ギアが一段上がったように力の込もった投球が見受けられた。本塁打直後に打ち取った3者に対してはボール球が目立ち、その制御が効かなかったようにも見えたが、4回からは一変。3回まで47球を投げストライク26球、ボール21球と約半々だったのが、4回以降は63球を投げストライク42球、ボール21球と制球が定まるようになった。
 
 打ち取った計23個のアウトの内訳は、ゴロアウト7、フライアウト7、奪三振9。7回以外全てのイニングで奪三振を記録し、その決め球はスプリットが6つで最も多く、その他スライダーが2つ、速球が1つだった。唯一速球で奪った三振は4回の3アウト目。右打者マット・ダフィー内野手への98.3マイル(約158キロ)が外角いっぱいに決まったもので、大谷は直後にグラブをポンポンと叩き気合いの入った様子を見せていた。しかし、これ以降の奪三振は3つのみで、後半は打たせて取る投球で試合を作っていった。
 
 球種は、多い方から速球(フォーシームのみ)55球、スライダー25球、スプリット22球、カーブ8球。速球の最速は99マイル(約159キロ)で、これも4回にダフィーを三振に仕留めた際の2ストライク目。このダフィーの打席で放った3球の3球は平均98.4マイル(約158キロ)だったが、速いだけでなく、いずれも低めに集められた最高の3球によって組み立てられた「最高の三振」だった。試合を振り返っても、この三振が流れを一気にエンゼルスに持っていった感がある。また、5回にマレックス・スミス外野手から奪った三振が、メジャー通算50個目の三振。メジャーデビュー7試合での50奪三振は日本人投手4人目で、エンゼルス史上では最速記録となった。
 
 相手のレイズの先発投手が本来リリーフのセルジオ・ロモで、そのロモが2回途中で交代したり、4回は味方の攻撃時間が長く待っている時間が多かったため、リズムを崩さないか心配されたが、それは杞憂に終わった。逆に、レイズ打線がスプリットを警戒してか5回以降「3球以内の勝負が10度」と早めの攻撃を仕掛け、少ない球数で大谷にアウトを献上したことも好投に繋がったと言える。
 
 連敗ストップという任務を託されていたが、それをプレッシャーではなく力に変えるような力強い投球を見せた大谷。次回登板は、中6日を空けて27日(同28日)の敵地でのニューヨーク・ヤンキース戦が予想される。田中将大投手の中5日で回るスケジュールが崩れなければ初の投げ合いとなるだけに、日本のファンや米国のファンの注目はこれまで以上に大きなものになるだろう。