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所属先決まらないFAのベテラン外野手、セカンドキャリア候補の”副業”で政界進出の可能性も?

2018/02/01

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 ワシントン・ナショナルズからFAとなっているジェイソン・ワース外野手。祖父・叔父もメジャーリーガーという野球一家で育ち、堅実な守備、高い出塁率を持ち味とした中距離打者として活躍したが、近年は成績が振るわず現在も所属先は決まっていない。
 
 今オフは移籍市場の動きが少なく、ワースの去就も不透明となっている中、米国紙「ワシントン・ポスト」では30日(日本時間31日)付でワースが球団の所在する首都・ワシントンで行われた一般教書演説に同郷のロドニー・デービス議員のゲストとして参加したと報じ、副業として行っている「有機農場」の経営に注目している。
 
 ワースはナショナルズ移籍を契機に「グルテンフリー」の食生活に切り替え、麦類と乳製品を省き、出来る限り非有機食品や遺伝子組み換え食品も省いて有機食品を中心とした食生活にしていた。また、自らの手で食材を作るために、故郷のイリノイ州に土地を購入して有機農場を開き、現在は規模も拡大してきているようだ。
 
 科学的根拠は証明されていないものの、肥満が社会問題となっている米国では「グルテンフリー」の食事は注目を浴びており、ワースも有機農場が広まることに意欲的だ。現在は他の農家が有機農場に転身するためのサポートに興味を抱き、自らの農場のノウハウを基にコンサルティング事業も始めたようだ。
 
 また、ワースは今オフの動きが非常に遅いことを受け「ずっと野球をしていられるわけではないからね」と話し、引退後は”副業”の農場経営に力を入れることを示唆している。なお、現在は現役続行を希望してトレーニングに打ち込んでいる。
 
 ワースは農場について「上手くいっている」と話す一方「有機農家が通常の農家と違う率で保険に加入していること、外国から安い価格で農作物を輸入している現状については気にしている」とも話しており、コスト面の問題などから有機農場への参入は敷居が高いことを問題視している。
 
 そして、現在はデービス氏にも現状の問題点が解決に向かうよう働きかけているようだ。同紙によると、デービス氏はワースよりも10歳年上ながら学生時代にワースのライバル高校に所属し、現在は議会チームの捕手を務めている。そして、デービス氏は農業委員会、バイオテクノロジーと栄養に関する委員会にも所属しており、ワースと共通点が多いこともあり、夕食を共にするなど親交も深いようだ。
 
 デービス氏も「有機農法についてワースと話をするとは考えてもいなかった」と驚きのコメントを残しているが、ワースの熱意や人間性に感銘を受けており、議会でも話題を提起するなど動きを見せているようだ。
 
 多くの選手が引退後のセカンドキャリアに悩むことの多い中、農場経営も並行して行っているワース。同紙では取り組みの熱心さを受け「非常にわずかだが、将来的には政界進出の可能性もあるのではないか」と評しているが、今オフの動きの少ない中で所属先を見つけ、満足の行くまでメジャーリーガーとしてプレーすることは叶うだろうか。