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【MLB】肘の不安、登板間隔……田中とヤンキースにとってカギ握る「年間200イニング」

いよいよ田中将大が今季初の実戦登板を迎える。今季もヤンキースの先発ローテーションの柱であることは間違いない。

2016/03/06

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サイヤング賞を獲るだけの実力はある

 何よりも田中は右ひじに〝爆弾〟を抱え込んでいる。1年目に患った部分断裂はPRP療法で何とか乗り切ったが、医学的見地から分析しても今後再発する危険性は残念ながらゼロとは言い切れない。となれば、ジョー・ジラルディ監督ら首脳陣は今季、果たしてエース右腕を中4日のローテで回し続け、かつ長いイニングを投げさせるのか。正直に言って、これにはかなり「?」の部分が大きい。
 
 それでも田中は200イニング登板を今季、目指す腹積もりのようだ。そのためには当然、中4日でも問題のないコンディションを常に維持し、先発登板した試合ではベンチに交代を告げられないような快投を立ち上がりから続けていく必要性が出てくるだろう。
 
 仮にこの大台をクリアすれば、エースとしての責務を果たせることはもちろん、他にも付随してさまざまなプラス要素が見えてくる。これだけの投球回数をエースが重ねるということは自らの勝ち星アップにもつながり、ひいてはチームの勝利にもなっていくはず。ヤンキースのエースの自覚として「フォア・ザ・チーム」の思いを抱き続けている田中のことだ。しっかりと、そう心中でソロバンを弾いているに違いない。
 
 2015年で年間200イニング登板を達成した投手はメジャーのアリーグ、ナリーグを合わせて28人。日本人投手も、これまでメジャーリーグで野茂英雄、松坂大輔、黒田博樹、ダルビッシュ有、岩隈久志の5人が達成している。田中の能力を持ってすれば、達成は可能なはずだ。
 
 奇しくも2月27日(日本時間2月28日)に地元ニューヨークのスポーツ専門局『YES』で放映された番組内で同局専属解説者のアル・ライター氏(元ヤンキース投手)が「田中には年間200イニングを投げ、サイ・ヤング賞を獲れるだけの実力があると思う。それが今シーズンで現実になるかどうか。しっかりと彼のマウンドを見ようじゃないか」と太鼓判を押し、今季注目のキーパーソンが田中であることを視聴者に強く訴えていた。
 
 ヤンキースのエースが今季フル稼働し、最高の栄誉に輝く姿をニューヨークのファンも心待ちにしている。田中は、その期待に応えなければいけない。

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