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【MLB】「未知の部分が解明」統計指標の発達とともに変化した、イチローの真の評価

MLBの世界において2000年代から大きく台頭してきたセイバーメトリクス。01年からプレーしているイチローも指標の発達によってこれまでは見えなかった長所、そして欠点を解明されてきた。

2015/09/26

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数値の進化で明らかになったイチローの能力

The history of baseball’s statistical movement can be told in terms of Ichiro. Step by step, the numbers have gotten more granular, drilling down deeper into the sport’s bedrock. And each time they strike a new stratum, some formerly unknown aspect of Ichiro is revealed.
野球に関する統計の歴史はイチローについても言うことができる。その対象範囲は段階的に広がっていき、スポーツの基盤とされてきた部分に穴をあけてきた。そして彼らが新しい層を叩くたびに、イチローに関する未知の部分も解明されてきた。

 この15年間メジャーリーグに起きた最も大きな変化の一つとして、選手を評価する指標の進化があげられる。2000年代以降、統計学の観点から野球を分析するセイバーメトリクスが、名著『マネーボール』を機に一躍球界を席巻。旧来打率や勝利数、打点といった昔からの指標に左右されてきた選手の価値判断は、OPSやWAR、守備防御点といった新たな指標、そして打球速度やスピンレート、打者の体感球速まで数値化してしまうstatcastのような新技術の台頭によってより複雑かつ精密なものとなってきている。

 2001年にメジャーデビュー、それ以来つねに最前線で活躍し続けてきたイチローはこうした変化にその評価を大きく左右されてきた一人だ。

 ESPN傘下の情報サイト『GRANTLAND』は数値の進化とともに明らかになっていったイチローの能力について以下のように紹介している。

Traditional stats taught us to appreciate Ichiro’s extreme singles hitting.
伝統的な指標(打率)は我々ヒットを打つことにおいて非常に優れていることを教えてくれた。

Later, easy access to pitch-by-pitch outcomes enabled us to tell that Ichiro, unlike most hitters, showed a real ability to foul off pitches at a higher rate once he got to two strikes.
後に1球ごとの結果に簡単にアクセスできるようになった結果、イチローがほとんどの打者と違い、一度追い込まれると高い確率でファウルで逃れられるだけの能力を持っていることもわかった。

 各指標の発達にあわせて、イチローが非常に高い打率を残せていた理由(打球のインプレー率、インプレー打球がヒットになる確率の両方が非常に高かった)や、ファンの間で語られていた通り実際にどんなコースのボールでもミートしヒットにできていたことが、数字を伴って証明された。

 それまで打率と安打数だけで語られてきたイチローの凄さが様々な数値から語られるようになったのである。

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