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早大13季ぶりの完全優勝 高校野球からの転身、高橋新監督の指導で新戦力が花開く

5月30日、東京六大学野球春季リーグ戦の最終カード早大-慶応が行われ、早大が13シーズンぶりの完全優勝を決めた。高橋広監督は就任初シーズンで結果を残した。

2015/06/05

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就任半年で新監督の野球が浸透

 打線は首位打者を獲得した丸子達也を筆頭にベスト10に5人が入り強力だった。
 その丸子は昨シーズンまでケガや不調でゲームに出場する機会が少なかった。しかし高校時代から注目されたバッター。監督はレフト方向を意識させて打率も上昇。「ボールを引きつけて逆方向を意識している」という本人が話すように、ヒットの半分は外角に逆らわない左方向だった。立大戦の初ホームランも左中間の深いところへの大きな打球だった。

 捕手の道端俊輔も覚醒した一人だ。智弁和歌山では5期連続甲子園に出場も、大学では3年間伸び悩んだ。高校日本代表でも指導した高橋監督は「道端はあんなもんじゃない。努力が足りない」と叱咤。捕球、スローイングと細かい練習をある時は付きっ切りで指導した。
「監督に言われて新しい発見がたくさんあった。自分への期待でプレッシャーがありましたが、厳しかったけれど自信になった」

 高橋監督が去年まで実績のなかったこの二人を自立させ、4番とキャッチャーという核に固定した。4年の新戦力が加わったわけだ。

 ここ数年、キャプテンになるとプレッシャーから成績を落とす選手が多かった中で、河原右京も責任を果たした。立大戦の満塁ホームラン、法大戦も満塁から三塁打を放ってチームに貢献した。
 昨秋、首位打者を獲った茂木栄五郎は5本塁打を放つなど長打力も増した。「あいつはプロを意識しているし、個人練習が一番、多い。けん引してもらった」と他のメンバーもそのレベルの高さを認めている。

 このように打線は4年生が中心に引っ張ってチーム打率3割を超える強力打線になった。河原を加えて、丸子、道端は、ほとんど実績のないところで抜擢されて4年生でレギュラーになった珍しいケース。「チーム内では重信慎之介、河原、茂木が下級生から出ていて、負けたくない」と道端は丸子と話し合っていたそうだ。

 新監督は初のシーズンに優勝する、というジンクスが早大の過去の歴史にはある。高橋監督もそれに続いた。高校野球監督からの転身、単身赴任、OBのコーチを置かず学生コーチと築いた優勝。レギュラーを固定し、投手にも完投を目標にさせた。その戦い方は高校野球と似ている。「最少失点に留め、1点差でも逃げ切る」を目指した。

「監督は誰に対しても同じように接するんです。キャプテンだから任せるとか、1年生だから厳しいわけではない。アドバイスは平等で明確。お前はこの時はバントをしっかり決めろとか、必ず完投しろとか。選手は役割がはっきりしてモチベーションが上がった」と大谷学生コーチは言う。

 1月から半年で高橋イズムが浸透した優勝だった。

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