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【2016年ドラフト交差点 隠し玉】大学NO.1野手・吉川の“宿敵”床田寛樹(中部学院大)にプロ注目。「全国の左投手の中で上位」とも

2016年度のドラフト会議が20日に迫っている。この1年を振り返ると、様々な選手たちがドラフト戦線に名乗りを上げてきた。しかし、有名選手だけが吉報を待っているわけではない。いわゆる、騒がれてはいないが実は候補として視線を集める“隠し玉”をリポートする。

2016/10/16

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尾関雄一朗



プロ11球団が見守る中、吉川を封じた床田

 今年6月の大学選手権で、岐阜学生リーグの中京学院大が初出場で優勝した。野球ファンを驚かせた、地方大学の大躍進。その快挙の原動力となった今秋ドラフト1位候補・吉川尚輝(4年)は、全国舞台で対戦したピッチャーについて、次のような感想を後日話していた。

「普段のリーグ戦(岐阜学生リーグ)で床田(とこだ)や平岡の球を見ているので、全国のピッチャーの球が特別すごいとは思わなかったです」

 吉川が挙げる「床田」とは、中京学院大と一字違いの「中部学院大」に所属するサウスポー・床田寛樹(4年)のことだ。また「平岡」とは、同じく中部学院大でプレーする150キロ右腕・平岡敬人(3年)を指す。こうした好投手たちとの対戦による切磋琢磨が、吉川ら中京学院大バッター陣の打撃技術を向上させ、全国大会での快打を呼んだ側面があるようだ。

 その床田がこの秋、吉川同様にプロ志望届を提出し、10月20日のドラフト会議で名前が呼ばれるのを待っている。

 ドラフト上位指名が確実視される吉川に対し、床田は指名の当落線上にある。大学生だが、直ちにプロで戦力になれるかは微妙。現状ではまだ“プロの体”に遠く、プロを抑えそうだと思わせる圧倒的なインパクトにやや欠けるからだ。

 ただし、その分将来性は豊かである。182センチと長身で、しなやかに腕が振れて球がキレる。左投手不足に悩むプロ球団は少なくないから、将来性も加味して評価すれば、床田が浮上する可能性は十分にある。巨人やオリックスなどプロ8球団から調査書の提出を求められている。

 床田にとって、10月8日にあった中京学院大とのリーグ戦は、さながらプロ入りへ向けての“最終試験”となった。中京学院大との対戦だから、目玉はもちろん「床田対吉川」。これを目当てに巨人を除くプロ11球団17人のスカウトが集結。広島やDeNAは編成・スカウト部門の部長級が視察に訪れた。アピールにはもってこいの場である。

 ここで床田は上々のピッチングを披露した。特に、吉川に対してまったく自分のバッティングをさせなかった。初回の第1打席では二塁にランナーを置き、カウント3-1から外角に146キロのストレートを続けて見逃し三振に切ってとった。

 第2打席から第4打席もランナーを置いて吉川を迎えたが、床田の球威が勝った。第2打席はストレートをファウルにさせて追い込み、最後は変化球で手打ちにさせて一塁ゴロに仕留めると、第3打席、第4打席はそれぞれストレートで遊撃ゴロ、左翼フライと詰まらせている。

 延長10回裏の第5打席は、追い込まれてからのチェンジアップに吉川が「死に物狂い」(本人談)で食らいつき、ゴロで一・二塁間を抜くヒットになった。ノーヒットでは終わるまいと最後に吉川に執念を見せられたが、リーグ戦では見納めとなる「床田対吉川」は、床田に軍配が上がった。

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