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“関東左腕四天王”鈴木昭汰(常総学院)。悔しい春を経て「やられたらやり返す」最後の夏【2016夏の甲子園注目選手】

2016年夏の代表校がそろった。これまで当サイトで紹介した選手やチーム以外にも、楽しみな逸材たちが大舞台を踏む。春・夏連続出場を果たした常総学院の左腕エース鈴木は監督のサインをも首を振る強心臓の持ち主だ。

2016/08/05

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昨今は少なくなった我が強いタイプの投手

 高校2年時に2015年センバツで熱投した常総学院の鈴木昭汰は、花咲徳栄の高橋昂也、木更津総合の早川隆久、二松学舎大附属の大江竜聖(16年夏の甲子園には出場せず)とともに「関東左腕四天王」と評されている。

 鈴木がとりわけ優れているのは、メンタルの強さだ。その特徴がよく表れたのが、強打者のそろう明秀日立を破って3年ぶりに夏の甲子園出場を決めた茨城大会決勝だった。

 佐々木力監督がベンチから送る変化球のサインに対し、鈴木は何度も首を振って右打者の内角にストレートを投げ込んでいく。強気の投球を貫き、初回からスコアボードにゼロを並べた。

 疲れの見えた7回、佐々木監督に「交代しようか」と聞かれると、「行けます」と答えてギアを上げる。指揮官が「最後までストレート系で押していったのは、投げている本人も自信になったんじゃないですか」と話す内容で試合を締め、完封で春夏連続の甲子園に導いた。

 176cm、76kgの左腕にとって成長の原動力となったのが、今春のセンバツだった。鈴木は立ち投げになっていたことが原因でボールに本来のキレを欠き、初戦の鹿児島実業戦で敗戦。一方、木更津総合の早川は大舞台で好投を見せた。

「認めたくないけど、早川はすごいなと思いました。関東左腕四天王といわれている中の一人だったので、自分にはすごい衝撃で、この夏は絶対(早川に)勝つしかないと思いました」

 センバツ後は左肩痛でノースローの期間、徹底的に走り込みを繰り返した。下半身主導のフォームに見つめ直したことで、夏の茨城大会直前、最速143kmのストレートはキレを取り戻す。チェンジアップ、ツーシーム、シュート、スライダー、カットボール、カーブと多彩な持ち球を誇る左腕はトップフォームに近づいている。

「調子が戻ってきたのは、夏が始まる寸前です。帝京や作新学院に打ち込まれていたので、本当にこれで大丈夫かなという不安もあったんですけど、良くなったのは佐々木監督が自分を使ってくれたおかげだと思います」

 試合でのピッチングはもちろん、取材で対話していて特に印象的なのが、気持ちの強さだ。芯の強さを感じさせる、といえばより正確な表現だろうか。昨今、鈴木ほどエース気質を持ち合わせた投手はなかなか珍しい。とにかくマイペースで、我が強いのだ。

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