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中田翔を「別人」へと変貌させた〝人とのつながり〟 ステップアップへ独り立ちの時

日本ハム・中田翔は、10日時点で本塁打と打点の2部門でリーグトップ。日本ハムの首位快走の要因の一つだ。そして中田の好調の要因は、肉体改造の成果のみならず、精神面の成長も大きいのではないだろうか。

2015/04/11

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ベースボールチャンネル編集部



立ち居振る舞いや言葉にも変化が

 その中でとても象徴的なのは、自らが試合で勝利に貢献した時に必ずと言っていいほど発する〝ルーチンワード〟。
 
 例えば、ヒーローインタビューの壇上でファンの前に立つと、カッと目を見開きながら「とにかくチームが勝てたことが、何よりも一番です」と口にする言葉だ。
 
 そこには、かつて〝ダダっ子〟〝じゃじゃ馬〟などと揶揄された男の影などもはや微塵も感じられない。
 
 振り返ってみると中田はルーキーイヤーから3シーズン、将来を嘱望される存在でありながらもなかなか一軍に定着できずにいた。高校時代に大阪桐蔭の4番として甲子園で旋風を巻き起こし「平成の怪物」と呼ばれていたことで、鳴り物入りで日本ハムに入団した直後はメディアによって持ち前の豪快なキャラクターばかりがクローズアップ。まだ一人前になっていないにも関わらず、そういう取材や報道もあり、いつのまにかいわゆる「コワモテキャラ」のイメージばかりが先行していた。
 
 当時、ネット裏の他球団スコアラーが中田について「このままでは『未完の大器』が『未完』のまま終わるかもしれないな」と嘲笑していたのを思い出す。
 
 しかし、二軍で入団1年目の2008年から2年間に渡って水上善雄監督(現ソフトバンク二軍監督)のもとでプロプレーヤーとしての技術、さらには〝人間教育〟を受けたことで中田に大きなターニングポイントが訪れる。一軍では兄貴分のダルビッシュ有(現レンジャーズ)から野手投手でポジションが異なりながらも時に優しく、時に厳しく、さまざまなところで叱咤激励され続け、人間的にも大きな成長を遂げる要因につながった。
 
 そして――。無論、現指揮官の栗山英樹監督の存在は中田の躍進を語る上で欠かせない。
2012年、日本ハム監督に就任した栗山監督からは全試合4番に固定され「オレは翔を信じている」と肩を叩かれた。こうしたさまざまな恩師や先輩たちとの出会いやつながりが、中田を心技体のすべてにおいて急速に進化させたのである。大化けした今の中田を「未完」と評する関係者など、もう誰もいるまい。
 
 それでも、まだまだ無限のポテンシャルを秘めていそうな背番号6。フォア・ザ・チームに徹しながら、今日もバットをフルスイングする中田翔から目が離せそうもない。
 
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