大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



由伸巨人再建への3つの強化ポイント。ヒントは2012年、原巨人にあり【死亡遊戯コラム】

日本シリーズを戦う2チームを除き、すでに他10球団は来季に向けてスタートを切った。巨人が来年優勝するためには何が必要なのか。

2016/10/28

text By



ブルペン陣の再建なるか

2.弱体化したブルペンの強化を
4年前と今のチームを比較した時に最も差があるのはブルペンではないだろうか。
12年はスコット・マシソン、山口鉄也、西村健太朗で形成する「スコット鉄太朗」の全盛期。
例えば山口は12年72試合で防御率0.84が、今季は63試合で4.88。西村は12年69試合で防御率1.14から、今季は27試合で防御率3.21と成績を落とした。
さらに賭博事件関与でチームを去った福田聡志は12年にロングリリーバーとして50試合を投げ8勝1敗、防御率1.61。高木京介もルーキーイヤーの12年は34試合で防御率0.57と貴重な中継ぎ左腕として存在感を発揮していた。
勝ちパターンのリリーバーたちの勤続疲労と、賭博事件による戦力低下。それに変わる新戦力の台頭もなかったブルペン事情。
マシソンとクローザー澤村拓一への負担は大きく、ドラフトでは2位~4位で大学・社会人の即戦力候補の投手を立て続けに指名。トレードやFA補強も含めて早急な立て直しが求められる。
来季は投手コーチ3人体制に増やして臨むことが発表されたが、ブルペン整備なくしてV奪回はないだろう。

3.切り札のベテラン勢に代わる選手の台頭を
思い返せば、12年シーズンの巨人はベンチに控える選手がそれぞれの仕事を着実にこなしていた。
高橋由伸、谷佳知、鈴木尚広、古城茂幸といったベテラン勢。
崖っぷちまで追い込まれた中日とのCSで劇的なサヨナラ打を放ったのは石井義人だったし、日本ハムとの日本シリーズ第6戦で貴重な先制タイムリーを放ったのは矢野謙次である。
だが、これらの選手たちはこの4年の間にすでに全員チームを去った。
今季の12球団最低の代打率.171という数字を見る限り、レギュラー勢だけではなく、控え野手の世代交代も上手くいっていないように思える。
優勝した広島ではベテラン新井貴浩を休養させ、松山竜平を起用する采配がよく見られたが、巨人の場合は阿部や村田に代わるような選手がいなかった。
数年前まで2軍の主力として期待されていた生え抜きの中井大介、藤村大介、大田泰示、橋本到らの伸び悩みがダイレクトに響いてしまっている印象だ。
ドラフト1位の吉川尚輝、2年目を迎える重信慎之介や山本泰寛、プエルトリコでのウィンターリーグに参加する岡本らの20代前半の新世代の台頭が待ち望まれる。
来季は今シーズンほとんど見られなかった「由伸チルドレン」たちの活躍に期待したい。

1 2