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DeNA、前半戦首位からの最下位。勝ち続けるための方法論を見出せずに迷走【2015年通信簿】

前半戦首位からまさかのシーズン最下位。戦う集団へ成長したDeNAだが、まだ上位で勝ち続ける上での経験が足りなかった。来季、ラミレス新監督の下、どのような野球が繰り広げられるのか。

2015/12/21

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ちぐはぐだった中畑采配。チームの地力が本質的な部分で試される来季

【ベンチワーク2点】
 集大成と謳った中畑清監督の4年目。勝っていたときはいいものの、負けがこむにつれ脆さを露呈していった。

 前半戦は好調な打線を武器に走塁を含めた積極的な采配が功を奏していたが、交流戦をはさんで12連敗すると、一貫性のない采配が目立ち始める。

 前日マルチ安打を放った選手をスタメンから外したり、あるいはビハインドの状況でしか好投していない中継ぎ投手をいきなりリードの場面で投入して失敗したりと、とくに後半戦はちぐはぐとした采配が目につき、傍から見ていても不可解なことが少なくはなかった。代打率.206はリーグ最下位。ここぞという場面の読みの甘さも低迷に繋がったと考えられる。

 守護人・山﨑を見出した慧眼は見事だったが、負け数が増えるにつれ中畑監督の表情からは自信が失われていったように感じられた。ベンチの雰囲気もトーンダウンし、センターラインの問題にしても猫の目のように変わる采配によりチームは混乱をきたしていった。もう少し我慢する場面、しない場面の使い分けができれば、選手はもう少し伸び伸びとプレーすることができたかもしれない。

 特に後半戦は、勝ち続けるための方法論を見出せないまま迷走してしまった印象である。

【総合2点】
 中畑監督が就任してから負け癖がついていたチームは、たしかに戦う集団へと成長した。そういった意味で中畑監督の功績は大きなものだったが、繰り返しになるが上位で勝ち続けるためのタクティクスは備えていなかった。

 監督もしかり、選手もまた“経験”が圧倒的に足りなかった。
 勝利することの純粋な喜びを超え、首位に君臨する日々。首脳陣や選手は、これまで体験したことのない状況下におかれ、ついにリミットを超えると緊張の糸が切れ、立て直しがきかないまま奈落の底へ落ちてしまった。

 投手陣の再編はもちろん、ラミレス監督のもと、来シーズンこの経験をいかに生かしていくのか。DeNAというチームの地力が本質的な部分で試されることになるだろう。

 最後に個人的な感想となるが、惜しむらくはチームが苦しい場面、なぜソフトバンクで優勝経験のある多村仁志を一軍へ上げなかったのか。
 ベテランである彼の影響力や経験からなる圧倒的な存在感は、ベンチにいるだけでもきっと選手たちの大きな力になったのではないか。もちろん編成上の事情はあるかもしれない。

 10月3日の本拠地最終戦、試合後ハマスタ内の一角では中畑監督の辞任会見が行われた。そのとき耳に入ってきたのが、スタジアムに居残っていたDeNAの応援団が奏でる多村の応援歌だ。何度も何度もリピートし、多くのファンが多村の応援歌を口にしている。力のかぎり、声を張り上げ……。

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