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【横尾弘一「取材ノートから紐解く野球のミカタ」】シーズン終盤に状態が上がったチームは有利――落合博満GMが振り返る日本シリーズの戦い方の変化

日本代表、社会人野球を中心に取材を続けている野球ジャーナリストの横尾弘一氏。現在、中日ドラゴンズのGMを務める落合博満氏の著書『采配』などにも携わった。この連載では、横尾氏のこれまでの取材を基に、野球の見方について掘り下げていく。第2回目は、落合博満GMが監督時代のエピソードから日本シリーズの見方について考えてみた。

2014/10/25

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日本シリーズの戦い方は、以前と比べて明らかに変わった

「日本シリーズの戦い方は、以前と比べて明らかに変わった」

 落合博満が実感を込めてそう語るのは、自身が中日監督として経験した5回の日本シリーズで、その変化の過程を体験したからだろう。

 監督就任1年目の2004年からセ・リーグ優勝を果たしたが、この年からパ・リーグはプレーオフを導入。ペナントレースで勝率1位だった福岡ダイエー(現・福岡ソフトバンク)ではなく、プレーオフを制した西武が進出してきた。

 王 貞治監督との対戦も楽しみにしていた落合は、「これが本当に日本一を決める戦いなのか」という思いを抱き、チームも何か肩透かしを食らったようなムードに包まれ、3勝4敗で日本一を逃してしまう。

 同じように、投打に圧倒的な戦いぶりでペナントを奪還した06年も、プレーオフで勢いづく北海道日本ハムを相手に、1勝しか挙げられずに敗れる。

 長いペナントレースを戦い抜き、しばらく実戦を離れてOFFになるセのチームと、プレーオフでONの状態が続くパのチームでは、どうしても日本シリーズへの入り方に差が出てしまった。それを解消する意味もあって、セも07年からプレーオフ導入に踏み切り、クライマックス・シリーズ(CS)と名づけられる。

「この年は巨人、阪神と三つ巴で終盤まで行ったけれど、心のどこかに『優勝してもCSに勝たなきゃいけない』という思いがあり、最後の最後に力を出し切れなかったんだよな」

 苦笑しながら落合が振り返る中日は、1.5ゲーム差で2位に甘んじたものの、そのモヤモヤ感を払拭しようと一丸となったチームは5連勝でCSを突破。さらに、2年連続で同じ顔合わせとなった北海道日本ハムも4勝1敗で下し、53年ぶりの日本一に輝いた。

 ただ、パの導入から4年間で、ペナントレース勝率2位のチームが3度も日本一になる事態に、翌08年からは勝率1位チームにCSで1勝のアドバンテージが与えられることになる。

 落合が率いる中日は、10、11年とリーグ優勝からCSも勝ち抜くが、日本シリーズでは千葉ロッテ、福岡ソフトバンクの軍門に降る。5回の日本シリーズは通算13勝17敗1引き分けで日本一は1回。ペナントレースの勝率と比較すれば、持てる力をフルに発揮できたとは言い難い。それを落合自身は、こう分析している。

「かつては、開幕したら休みはオールスター期間だけ。長いペナントレースをトップでゴールしたチーム同士が、満を持して日本シリーズでぶつかり合った。けれど、現在は交流戦に入る時、そこから同一リーグの対戦に戻る時など中断が増え、その度に勝負の流れが変わるようになった。さらに、ペナントレースを終えてもCSがあり、ようやく日本シリーズに辿り着く。そうなると、どうしてもシーズン後半に状態の上がってきたチームが有利になるでしょう」

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