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シーズン終盤に状態が上がったチームは有利――落合博満GMが振り返る日本シリーズの戦い方の変化【横尾弘一「取材ノートから紐解く野球のミカタ」】

日本代表、社会人野球を中心に取材を続けている野球ジャーナリストの横尾弘一氏。現在、中日ドラゴンズのGMを務める落合博満氏の著書『采配』などにも携わった。この連載では、横尾氏のこれまでの取材を基に、野球の見方について掘り下げていく。第2回目は、落合博満GMが監督時代のエピソードから日本シリーズの見方について考えてみた。

2014/10/25

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ペナントレース通りの選手起用か、それとも短期決戦の選手起用か?

 そして、選手起用も変わってくると付け加える。
 
「極端に言えば、開幕から先発ローテーションを守って疲れの溜まっているエースより、最後に3連勝くらいして勢いのある若手のほうがよかったりする。あとは、監督がシーズン通して貢献してくれた選手と、終盤から勢いのある選手のどちらを選ぶかでしょう。私の場合も、11年は谷繁元信がCSから40打席以上1本もヒットを打たなかった。では、勝つために他の捕手を使うのかと言えば、私にはそこまで考えることができなかった。春先から積み上げてきたもの、ペナントレース優勝の価値は何だったのかって。そういう情を持った私のような監督は、現状のシステムでは勝ちにくいのかもしれないね」
 
 確かに、阪神は開幕直後に福留孝介と西岡剛が激突してケガを負い、波に乗れない戦いが続いた。
 
 しかし、そこを踏ん張り、終盤に福留と西岡が復調すると、エース・菅野智之が離脱した巨人を圧倒した。開幕から安定した試合運びを見せていた福岡ソフトバンクは、終盤の失速を引きずるようにCSでも苦しんだ。
 
 では、その両チームの対戦はどんな結果になるのだろう。
 
 実は、落合は11年前の福岡ダイエーと阪神による日本シリーズを、4勝3敗で福岡ダイエーと予測した。しかも、それまでの日本シリーズでは一度もなかったホームチームの全勝まで的中させたのだ。
 
「球団が地域密着を打ち出すようになり、日本でもホームゲームという概念が強くなった。その中で、本拠地では観客が独特の雰囲気を作り出すチーム同士の対戦だから、そういう結果もあるんじゃないかと考えたんだ」
 
 それに加え、04年の西武、05、10年の千葉ロッテ、07年の中日と、ペナントレース勝率1位ではないチームが日本シリーズに出場すると、必ず日本一になるというジンクスも生きている。これらの要素を加味すれば、甲子園球場で開幕する今回は、4勝3敗で阪神ということになるのだが……。
 
中日・又吉克樹の〝ドミニカ武者修行〟に込められた、落合博満GMの意図【横尾弘一の野球のミカタ】

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