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【データで選出3・4月月間MVP】ロッテ・マーティンと巨人・坂本勇人がトップの貢献。中日・柳裕也はダルビッシュ並のペースで三振を量産

2021/05/10

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Getty Images, DELTA



マーティンと坂本がトップ。村上は長打力で他の候補を圧倒

 評価には(1)セイバーメトリクスの一手法を用いて選手のはたらきを得点換算し、(2)同じ出場機会を「平均的な成績の選手」が担った場合のはたらき(得点)を基準(=0)に置き、どれだけ上積みをつくったかという推定値を算出して行った。「平均的な成績に対して大きな差をつくり」、また「その状態で多くの出場機会を重ねていく」ことで増えていく数値なので、質と量、両面での貢献を見ることとなる。図中の[]で囲んだ項目でグラフが右に伸びているものはリーグ平均以上、左に伸びているものは平均以下だった数値だ。
 

 
 まずは野手から見ていこう。パ・リーグはレオネス・マーティン(ロッテ)、セ・リーグは坂本勇人(巨人)がそれぞれ15.2点、15.1点と最高の貢献を果たした。

 マーティン、坂本は総貢献のうち、打撃が占める割合が最も大きかった。平均的な打者が同じ打席数に立った場合と比べてマーティンは10.8点、坂本は8.7点チームに多く得点をもたらしたと推定できる。
 
 ただ、打撃のみの貢献であれば村上宗隆(ヤクルト)が彼らよりはるかに大きい14.6点の貢献を残している。村上は打率、出塁率の面では坂本やマーティンと大差なかった。しかし28安打のうち二塁打が7本、本塁打が10本と長打が半分以上を占め、長打率は.648と極めて高い値に到達。結果として村上は打撃貢献で他の選手に大きな差をつけている。

守備・走塁で打撃のビハインドを取り返した西武・源田

 守備評価には同じイニングを守った平均的な同ポジション選手と比較してどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)を使用する。しかしUZRは同ポジションの選手との守備を比較する指標であるため、今回のように異なるポジションの選手を比較する際は、ポジション間の補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。この守備位置補正をUZRに加えたものが守備貢献となる。
 
 守備では、源田壮亮(西武)が最高の貢献を残した。源田は先月打撃ではわずか0.5と、ほとんど平均レベルの貢献しか残せていない。ランクインした選手の中ではもっとも低い数字だ。だが守備面では他の選手に大きな差をつける10.5点を記録。また走塁でも3、4月で7盗塁を試みすべて成功するなど、打撃面でほかの候補につけられた差を取り返した。
 
 一方、外野において守備面で大きな貢献を残したのが辰己涼介(楽天)だ。辰己は昨季以前も高い守備力を見せていたものの、打撃面で思うような結果を残せないために、出場機会が不安定な状況にあった。だが今季は3・4月で5本塁打を放つなど打撃面で好調。これにより出場機会も安定的に確保し、高い守備能力を十分に発揮する機会に恵まれている。

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