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FA権行使で去就注目のヤクルト・小川泰弘 今季のノーヒットノーラン達成試合を振り返る【プロ野球2020名場面プレイバック】

2020/12/09

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 日本野球機構(NPB)は5日、フリーエージェント宣言選手を公示。計7選手が名を連ね、宣言残留した埼玉西武ライオンズの増田達至投手と熊代聖人外野手を除く5選手が残留も視野に入れた他球団移籍の道を模索する。
 

 
 通算75勝を挙げている東京ヤクルトスワローズの小川泰弘投手は、国内FA権の行使を表明し、その去就が注目されている。今季は5年ぶりの2桁10勝をマーク。8月15日横浜DeNAベイスターズ戦では、史上93度目(82人目)となる無安打無得点試合(ノーヒットノーラン)の偉業を達成した。
 
 今回は、2020年シーズンの名場面の一つでもある同試合をプレイバックしていく。

2020年8月15日 東京ヤクルトスワローズ対横浜DeNAベイスターズ

 2020年8月15日に敵地の横浜スタジアムで行われたDeNAとの11回戦。相手先発は今永昇太投手だった。今永とは8月8日の前回登板でも投げ合い、5回4失点で敗戦。小川にとってはリベンジを期すマウンドとなった。
 
 初回の小川は3番・宮﨑敏郎内野手に四球を出すも、4番・佐野恵太内野手を一ゴロで無失点スタート。続く2回は、2死後に7番・大和内野手を右翼手・濱田太貴外野手の落球により出塁を許したが後続を断ち、上々の立ち上がりを見せた。
 
 すると3回、ヤクルト打線が3点を先制。得点後の大事なイニングとなった3回裏は、三者凡退に抑え、流れを引き寄せた。
 
 勢いに乗るヤクルト打線は、4回にさらに3点を追加。小川は5回までを3イニング連続で三者凡退とし、前半戦を大量6点リードで折り返した。
 
 後半戦に入っても小川の好投は続いた。6回は先頭の9番・戸柱恭孝捕手、1番・神里和毅外野手を見逃し三振、2番・柴田竜拓内野手はフルカウントまで粘られて四球となるも、3番・宮﨑は空振り三振で、この回は3三振で切って取った。7回には打線が3得点を挙げ、9点リードに。7回裏は4番から始まる打順だったが、三者凡退に封じ込めた。
 
 最大のピンチは8回、先頭の途中出場で7番に入った倉本寿彦内野手には、10球を投じた末に四球を許したが、同じく途中出場の8番・中井大介内野手の打球は遊撃への併殺コース。しかし、送球を二塁手・廣岡大志内野手が落球してオールセーフに。無死一、二塁のピンチを迎えた。しかしこのミスにも小川は動じなかった。続く代打・嶺井博希捕手を空振り三振に打ち取ると、1番・神里を右飛、2番・柴田を遊ゴロに打ち取り、窮地を乗り越えた。
 
 いよいよ記録達成までアウト3つとなった9回、途中出場で3番に入った山下幸輝内野手を一直、4番・佐野を一ゴロで2死を奪った。次打者は代打・乙坂智外野手、2球で追い込んだ後に際どいコースを選ばれ、フルカウントからの6球目、外角高めのフォークにバットが空を切り、空振り三振で試合終了。史上93度目(82人目)となるノーヒットノーラン達成となった。
 
 この日の小川は9回(135球)を投げ、打者32人に対し、被安打0、奪三振10、与四球3、無失点で5勝目をマーク。高い制球力と味方の失策で招いたピンチにも動じない精神力が光り、DeNA打線を寄せ付けなかった。