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ソフトバンク、あと一歩で継投ノーヒットノーラン。2007年中日・山井大介-岩瀬仁紀の完全試合達成を振り返る【日本シリーズ2020】

2020/11/25

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 福岡ソフトバンクホークスと読売ジャイアンツによる「SMBC日本シリーズ2020」第3戦(7回戦制)が24日、ソフトバンクの本拠地・福岡PayPayドームで行われ、ソフトバンクが、ムーア、モイネロ、森唯斗の完封リレーで勝利。あと一歩で無安打無得点(ノーヒットノーラン)という圧巻の継投で、日本一に王手をかけた。
 

 
 9回に森が丸佳浩に安打を許し、惜しくも“継投ノーノー”とはならなかったが、達成していれば、2007年の中日ドラゴンズ以来となる快挙だった。ここでは、2007年度日本シリーズ第5戦・中日ドラゴンズ対北海道日本ハムファイターズを振り返る。
 
 中日が先に3勝を挙げ、日本一に王手をかけて迎えた第5戦(日本ハム1勝)。中日の本拠地ナゴヤドームで行われた同試合は、中日・山井大介、日本ハム・ダルビッシュ有の両先発で幕を開けた。
 
 第1戦ですでに先発し勝利を挙げていたダルビッシュは中4日での登板。後がない日本ハムは、敵地でのマウンドをエースに託した。ダルビッシュは、2回にT・ウッズと中村紀洋の連打、平田良介の犠飛で1点を失うも、要所を締めるピッチングで7回を1失点に抑えた。
 
 一方、山井は、シリーズ初登板。7回で11奪三振をマークしたダルビッシュとは対照的に、打たせて取る投球で内野ゴロを量産した。互いの好投が相乗効果を生み、締まったゲーム展開となったが、7回で降板したダルビッシュに対し、山井は気づけば無安打、無四死球のまま8回を投げ終えていた。
 
 1-0のまま迎えた最終回、山井の球数は86球であったが、落合博満監督はここで継投策を選択。絶対的守護神・岩瀬仁紀にシーズン最後の締めくくりを託した。岩瀬は、先頭の金子誠から三振を奪い幸先よく1アウトをとると、続く代打・髙橋信二を左飛、最後は小谷野栄一を二ゴロに打ち取り、継投での完全試合を達成した。
 
 日本シリーズでは無類の強さを誇る岩瀬。シリーズ6度(1999年、2004年、06年、07年、10年、11年)を経験し、通算成績は17回2/3を投げ、6セーブ、防御率0.00となっている。当時はその4度目に当たるが、1点差のゲーム展開で最終回を岩瀬に託した落合監督の采配は、勝ちにこだわる姿勢を見せつける形となった。その結果、チームは、53年ぶりの日本一(2度目)を手にしたのだった。
 
 今回の工藤監督も、ムーアは7回まで無安打投球を続けていたが、継投を選択。日本一を絶対使命とされるチームにとっては、当たり前の選択だったのかもしれない。常勝軍団ソフトバンクの強さを垣間見せる采配だったともいえるのではないだろうか。