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故障、不調……想定外の事態をどう乗り切れるか? 今季問われるベイスターズの”地力”

セリーグ首位で交流戦を迎えるDeNA。しかし決して順風満帆なわけではない。他球団同様に故障や、主力選手の不調や離脱があったものの、ここまではその部分をしっかりとカバーできているからこそ、今の位置にいると言えるだろう。さて、打線の柱に成長した筒香が負傷交代となった。ベイスターズの地力が問われ続けている。

2015/05/27

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ベースボールチャンネル編集部



不測の事態のときにこそ問われるもの

 想定外のことが起きるというのがペナントレースの戦いというものだ。怪我に限ったことではなく、各チーム、シーズン前に描いていたように進んでいないということは起きる。ただ、そうなったときに、どう戦っていけるかが、非常に重要なファクターなのだ。

 もちろん、ベイスターズにも、故障以外にも想定外はあった。
 そのうちの一つが、正捕手の不調だった。

 ベイスターズの正捕手は、開幕当初は黒羽根利規が務めていた。昨年はキャリアハイとなる109試合に出場。セリーグの盗塁阻止率ではナンバーワンだった捕手だ。昨季、27歳にしてチーム最年長捕手になった黒羽根は、今のチームを支えてきた選手だった。
 しかし、開幕してから不調が続くと、その座を後輩たちに譲った。それが高城俊人や嶺井博希で、彼らは黒羽根の不調を補うかのように、活躍しているのである。

 一般的な見方をすれば、高城や嶺井が黒羽根をベンチに追いやったような形だが、その裏には、今のベイスターズの強さを物語る捕手の一体感がある。

 シーズン前、黒羽根がこんな話をしていた。

「(高城や嶺井は)普段はライバルですけど、キャッチャーというポジションは全体で底上げしていかなければいけないと思うんです。みんな個々でやっているんですけど、最終的には集結してチームとして戦う必要がある。一番は勝たないといけないんです。そのためには、僕が試合に出ているときは、ジョーや嶺井に『ココを見といてくれ』とか試合中に頼んだりしていますし『外から見ててどうだった』?と聞いています。逆に、ジョーとか嶺井が試合に出ているときは、あいつらからも、「どう見えましたか?」と聞いてきたりもします。だから、試合に出ている選手がいたとして、あとの控えのキャッチャーはその選手を全力でサポートしなくちゃいけない。その気持ちが大事だと思います」

 つまり、彼らは一人では戦っていないということなのだ。

 レギュラーとして試合に出ているのは、黒羽根や高城、嶺井という名ではあるけれども、キャッチャーとして戦っている。もちろん、調子の善し悪しがある分、個人の差はあるのだが、シーズン中にこれだけ捕手が変わってもチームの成績を落とさず戦えているのは、ベイスターズの、「捕手総合力」にあるといってほかならない。

 黒羽根は言う。

「試合に出ても出なくても、キャッチャー全員が一つの情報に対して共有できていると思います。例えば、ジョーの意見に対して、嶺井が「こう思いました」とか、僕が気づいたら「こう思ったんだけどどう?」というような感じで情報共有はできている。昨年以上にみんなが観ているレベルは上がっている感じがしていますし、みんなそれぞれ自分が出たいと思っているんですけど、その中でも、勝つことの方が重要だと分かっている。でも、これは、キャッチャーに限らず、今のチームは役割分担がしっかりできているということなのかなと思います」

 嶺井も続ける。

「自分は1軍では長く戦ったことがなく、対戦のない相手ばかりなので、最初はみんなの意見を聞いてばかりいました。今は全員でやれている実感はあります。それぞれ見方が違いますし、アドバイスを信じるか信じないかはその時々にあるとして、違う方向性、違う目線から見てもらえるというのはありがたいです。チームとして勝とうとしてやっているので、いい方向に動いていると思います」

 グリエルの契約解除問題、梶谷や筒香の故障、正捕手の不調など、様々な想定外が起こっている今のベイスターズ。それを乗り越えてきたから今の成績がある。

 だが、同時に交流戦以降も続いていくということを忘れてはいけない。主砲が先発に戻るまでの期間、どこまで打線として機能するのか。あるいは、24日の試合で危険球退場してしまった若き守護神の心の傷も危惧されるところだ。

 ただ、それらもすべての示すところは「ベイスターズの地力」が問われているということなのだ。

 ベイスターズの地力――。
 今も、そして、これからも非常に重要なポイントになる。

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