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野村克也氏「高校野球のタイブレーク制は大反対」。野球本来の醍醐味が失われる危険性

未来のプロ野球選手を夢見る選手を教える指導者はどのような知識を備えるべきか、そしてどのような指導をすべきか。4月12日に発売される野村克也元監督の最新刊「指導者のエゴが才能をダメにする ノムラの指導論」から一部抜粋で公開する。

2019/04/11

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「攻撃の形を作り上げてから得点する」という野球の醍醐味

 これからの野球は、私たちが現役を送っていた時代とは大きくかけ離れたものが増えてくるに違いない。その1つが高校野球における、延長13回からの「タイブレーク制度」である。
 
 正直言って、私個人はこの制度には大反対である。いきなり無死一、二塁のシチュエーションとなって攻撃が開始される。子どもたちの体力の消耗度を考えて、「そのイニングの間で得点が入って決着しやすいように」という発想から生み出されたアイデアかもしれないが、野球本来の「攻撃の形を作り上げてから得点する」という醍醐味が失われてしまうような気がしてならない。
 
 たしかに小中学生の体の出来上がっていない子たちに対しては、有効かもしれない。だが、高校生の段階になってこの制度で野球をやること自体、間違っている。「決着がつくまでやればいいじゃないか」というのが本音だ。
 
 それでは高校野球の現場ではタイブレークに備えての練習を行っているのだろうか? 2018年の夏の甲子園の100回大会で2試合、タイブレークになった試合があったが、このうち3校は「タイブレークに備えての練習はしていなかった」というではないか。「日頃からタイブレークに備えての練習を行うのであれば、試合と同じ走者、同じ打者、同じ打順で始めなければならない。そこまで想定するのは難しい」
 
 このように現場の指導者たちは話しているというが、これはもっともなことである。たとえばタイブレークのイニングになって、下位の打者が先頭となった場合、送りバントもあれば、ヒットエンドランだって考えられるだろう。だが、中軸を打つ打者が先頭になった場合は、送りバントよりは強行策のほうが得点になる確率が高くなる。それをあえて練習で想定するのではなく、「もしタイブレークの場面が訪れたら、そのときの状況でサインを出す以外にない」という考えをしたって、おかしな話ではない。

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