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“画面越しの世界”は、まっすぐ歩んだ道の先にある。二木康太の一軍への道のり【マリーンズドキュメント】

プロ4年目を迎えた二木康太。今季は開幕ローテーションから外れたものの、ここまで4勝1敗で厳しい状況のチームを支えている。

2017/06/23

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千葉ロッテマリーンズ

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体づくりに没頭するも、不安を抱いた1年目

 完投勝利が確定した瞬間、5月下旬のZOZOマリンスタジアムのマウンド。バッテリーを組んだ田村龍弘に頭をポンと叩かれ、二木康太はわずかに苦笑した。最終回に1点を与えて自身初の完封は逃したが、チームは見事勝利した。
 
 6月上旬には、8回途中1失点の好投で歓声を浴びた。ヒーローインタビューで自分の名を呼び続けてくれたファンに感謝を伝え、ハイタッチを交わすチームメイトの顔には、合わせる手の数だけ笑顔が並んだ。晴れた日のグラウンドは爽快で、二木は最後に群青を見上げた。いつかの自分が遠い場所から見ていた壮大な景色が、すぐそばに感じられた。
 
 あれはプロ1年目のこと。さいたま市内の二軍球場近くにある選手寮の食堂で、二木の視線は、まだ残っている目の前の食事とテレビ画面を往復していた。二軍はデーゲームが多いため、夜は一軍の試合中継が映される食堂で栄養を摂ることが日課だった。高卒の新人選手が身体を大きくすることは最優先課題だったし、苦ではなかった。ゆっくりと時間をかける夕食の風景には、いつだってテレビ越しに躍動する投手陣がいた。二木が食事の箸を止めることはなかったし、自分が取り組んでいることは未来の糧になると信じていた。ただ、画面の向こうで野球をする選手たちのことは、切り離されたような遠い世界にいる存在に思えてならなかった。
 
「(一軍の試合は)同じチームメイトではないような、不思議な気持ちで、すごいなと思いながら見ていました。自分は本当に大丈夫なのかな? という不安もありましたね」
 

 
 鹿児島から出てきたばかりの新人の二木に、二軍の先輩たちは球場でアドバイスをくれ、休日には気分転換をしようと外に連れ出してくれることもあった。鹿児島情報高からプロの世界に導いてくれた山森雅文スカウトは、忙しい日々のなかで時間を見つけては球場に駆けつけた。初年度は練習試合の登板がほとんどで、プロ野球選手の基礎となるトレーニングや栄養指導をたくさん受けた。二木のことを周りの人々は気にかけ、本人も懸命に取り組んだが、一軍までの道のりは果てしなく、どこまでも不透明に思えたのだった。
 
 テレビ画面越しの試合は相変わらず続いていた。体づくりに没頭する二木は夕食を終えて席を立ち、その日も就寝前に食べる菓子パンを掴んで自室に戻った。

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