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田中・佐々木・柳を引き当てた3球団に加えて、DeNAと楽天が効果的な指名【2016年ドラフト・大学生総括】

「大豊作」と言われた2016年のドラフト。今回は大学生の指名で効果的な指名をしたとされる球団と新人王候補を大学野球ライターの高木遊氏がピックアップする。

2016/10/23

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高木遊



楽天は「育成型大学生」カルテット

 DeNAは1位の濱口遥大投手(神奈川大)と、2位の水野滉也投手に即戦力リリーフの期待がかかる。濱口は最速151km/hのストレートとブレーキの利いたチェンジアップが最大の武器。主に先発として起用されており、暴れ馬と評したくなるほど好不調の波は激しいが、「彼の長所であるタフさと馬力を最大限に発揮できるのはリリーフではないか」と他球団スカウトは語る。

 また、本命なきセリーグ新人王候補に推したい水野はサイドハンドから投じるスライダーとシンカーのキレを生かしてゾーンを広く使えるのが武器で左打者も苦にしないのが売り。ストレートも最速147km/hを計測しており、短いイニングで活きるタイプに思える。

 下位指名の2人は即戦力か判断しかねるが、6位の尾仲祐哉投手(広島経済大)は最速150km/hのストレートとカットボールで高い奪三振率を誇り、7位の狩野行寿遊撃手(平成国際大)は足をしっかり使った守備で球際の強さが光るなど、磨けばまだまだ光る武器がある。
 
 同じく大学生4人を指名しても「即戦力の補充」ではなく「伸びしろ」に期待をしているであろう4選手を指名したのが楽天。2位の池田隆英(創価大)、3位の田中和基外野手(立教大)、4位の菅原秀投手(大阪体育大)は皆、大学4年間での個人タイトル歴はなく、6位の鶴田圭祐投手(帝京大)にいたっては準硬式野球部所属と完成度はまだ低い。

 一方で、池田はフォーク、菅原はナックルカーブといった縦の変化球の精度が上がれば、ともに最速が150km/hを超えるストレートがより活きてくる。田中はまだ粗さも残るが高い身体能力が技術に還元されてくれば面白い存在だ。鶴田は既に硬式球に握り変えてもストレートが148km/hを計測し、準硬式球で武器となっていたスライダーも、「しっかり操れている」(本人段)と手応えを掴んでいる。

 今回のドラフトの成果が現れるのは、すぐの話ではないが、ここで取り上げた選手が1人でも多く活躍することを願いたい。

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