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京大初と騒がれて……ロッテ・田中、2年目へ静かなる闘志――悩める右腕を導いた松永の存在【マリーンズファーム通信#11】

昨年の春季キャンプで京大出身のルーキーは連日メディアの注目の的だった。しかし開幕してみればプロの洗礼を浴びることになった田中英祐。2年目は自分のペースで着実に前進している。

2016/02/09

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千葉ロッテマリーンズ



勇気を振り絞って

 吐く息が白い。田中英祐投手の自主トレは午前7時にスタートしていた。
 その30分前にはグラウンド入り。まずは1時間の走り込みから始まる。その後、340メートルダッシュ。100メートルダッシュ30本。50メートルの3往復を1分回以内で行うメニューを7本など、日替わりで様々な距離のランニングを消化。とにかく走って、走って、走った。
 
 2015年シーズン、京都大学出身初のプロ野球選手として世間の注目を一身に背負いプロ入りも未勝利。湯気の立つ背中には、2年目にかける決意がみなぎっていた。
 
「充実していましたね。学ぶことが多かった。プロの考え、心構え、トレーニング方法。一緒にやらせていただいて本当によかった。いろいろと頭の中を整理できた」
 
 兵庫県三木市で行われた1月の自主トレを振り返り、田中は明るい表情を見せた。
 
 松永昂大投手に頭を下げて、実現したトレーニングだった。シーズン中、それほど会話をした記憶もない。ただ、そのストイックに野球へと打ち込む姿勢に憧れていた。11月に鴨川で行われた秋季キャンプ。勇気を振り絞って問いかけた。
 
「どこで自主トレをされるのですか?」
 
 松永もその一言で察した。あえて自らが誘うような形で問い返してあげた。「良かったら来るか?一緒にやるか」。悩める田中の表情がパッと明るくなった。「やらせてください!」。気持ちのこもった返答に、強い決意を感じられた。
 
「去年の春のキャンプで少し話をしたぐらいの仲。でもお願いをされたら、歓迎です。自主トレはスタミナ。心肺面を鍛える期間。『とにかく走るぞ。ついてこれるか?』と伝えました」

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