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巨人・侍ジャパンでV逸の屈辱を味わった坂本勇人。温情査定に来季は倍返しのシーズンへ

巨人・坂本勇人の今季は打率と打点がチームトップだった。しかし決して満足できるような成績ではない。来季は球団やファンの期待を結果につなげることが求められている。

2015/11/29

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期待を来季は結果で

 シーズン中は4月11日のヤクルト戦で球団史上82代目となる4番打者を務めたが、4月29日には左ふくらはぎの張りで自身プロ初の故障による登録抹消も経験。2015年は奇しくも長短両面での「自身初」を味わった。

 しかしながら貧打にあえいだ今季の巨人打線の中で4番の座をつかんだ喜びなど、たかが知れている。これまで人一倍のケアを怠らずに故障知らずの体を作り上げてきたものの不本意なケガによって遂に戦線離脱に追い込まれてしまった屈辱感は、シーズンが終わった今も心中で充満しきっているようだ。

 そのうっ憤を晴らすべく、侍ジャパンの一員として大暴れを誓い、出場した国際大会「プレミア12」では2番打者を務めて全試合に先発出場を果たした。だが不慣れな打順であったこととシーズンの疲労蓄積が重なり、期待された打棒は「爆発」とまでいかず、結果的に3位に終わったチーム同様に鳴りをひそめてしまった。

 それでも世界大会の中で日の丸をつけてプレーし、緊張感のある戦いを経験したことは間違いなくプラス材料になった。真価を発揮できなかった打撃とは対照的に遊撃の守備面ではキラリと光る要素を大会中に何度も見せ、参加選手の中でただ1人が選出される「最優秀守備選手」に輝いたことも本人的には相当な自信につながったようだ。

 常に公私にわたる全てにおいて高いレベルを求められ、その期待が大きい分だけ、坂本勇人という人気者は何かとグラウンド内外でメディアから格好の〝ターゲット〟にされる。世界一を狙いながらもプレミア12の準決勝で敗れた侍ジャパンの中心メンバーとして、さらにはリーグ4連覇を目指したもののV逸した巨人でもチームの中心となるべき主将として――。今季はその両軍において期待されたようなハイレベルの結果が出せなかったことで、坂本はメディアだけでなくネット上でもバッシングを浴びた。

 正直に評すと、坂本にはアクティブなプレーとは対照的に何となく「チャラい」「やんちゃ」などのやや派手なイメージが未だにまとわりついている感が否めないところもある。だから、一挙一動が必要以上にメディアで大げさに扱われ、誤解されることも多い。しかし、その素顔は野球に対して実にストイックな精神の持ち主だ。巨人、そして侍ジャパンで不完全燃焼に終わり、目標を達成できなかった今季の屈辱をたとえバッシングを浴びずとも坂本は痛切に感じ取っている。

 素直に喜ぶわけにはいかない巨人の〝温情査定〟には来季への〝期待料〟も当然込められている。〝その期待には来季必ずや、自身のプレーで倍返しして応えてみせます――〟。坂本は心の中で今、そう誓っているはずだ。

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