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2014年ドラフト総括「識者はこう見る!」~社会人編 

10月23日、「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が都内で行われ、105名の選手がプロの門を叩いた。有原航平(早大)や安楽智大(済美高)、高橋光成(前橋育英)など注目選手に話題が集まった今年のドラフトだが、見るべきポイントはいくつもある。下位指名で活躍や大化けが期待できる選手は? ドラフトによる補強がうまくいった球団は? 今ドラフトにおける傾向や特徴を社会人、大学、高校と3つのカテゴリーにわけ、それぞれに造詣の深い3人のエキスパートに話を聞いた。初回は社会人編をお送りする。社会人野球情報誌『グランドスラム』のメインライターを務め、落合博満氏の著作で編集や構成を手がけるベースボール・ジャーナリスト横尾弘一氏に、今ドラフトの社会人指名について総括してもらった。

2014/10/25

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センターラインを社会人で固めた中日、阪神の横山の起用法に注目したい

 また、あまりこういう言葉は使いたくありませんが、今年は全体的に不作と言われていました。社会人に関しては、昨年のドラフトが大きく関係していると思います。昨年は31人の社会人選手が指名されましたが、30名を超えたのは41年ぶり。1年前にそれだけの有望な選手を獲得してしまったわけですから、多少、コマ不足となるのは避けられません。
 各球団とも今年は目玉となる選手が少なくなることは事前にわかっていたので、それに合わせた指名をしたと思います。
 
 中日は指名した9選手のうち5人が社会人。1位の野村亮介(三菱日立パワーシステムズ横浜)は投手、3位の友永翔太(日本通運)と6位の井領雅貴(JX-ENEOS)は外野、4位の石川駿は(JX-ENEOS)はセカンド、7位の遠藤一星(東京ガス)はショート。5位で指名された青山学院大の捕手・加藤匠馬までを含めて、センターラインをしっかりと固めてきた印象です。
 2011、12年とビジョンがはっきりしないドラフトをしてしまい、チームもBクラスに落ちていますから、来季の巻き返しを第一に考えた上での指名になったと思います。
 
 2度抽選を外した阪神は、1位にサウスポーの横山雄哉(投・新日鐵住金鹿島)を指名しました。先発の能見篤史やリリーフの加藤康介らの左腕はいずれもベテランで、同じくサウスポーのリリーフ筒井和也も今季はあまりよくありませんでした。こうした点からも、横山が来季の阪神でどういう仕事が求められているかが明確になっていると思います。
 また、2位の石崎剛(投・新日鐵住金鹿島)は、スリークオーター気味の右腕。かつて阪神に所属していた桟原将司投手がパワーアップしたようなタイプで、こちらも求められる役割が浮かび上がってきます。
 
 ヤクルトの1位は、左腕の竹下真吾(投・ヤマハ)。九州共立大学時代に仲里清総監督のもとで4年間しっかりとやってきた選手です。
 同じヤマハ出身で、一昨年のドラフトでヤクルトから1位指名を受けた石山泰稚は、昨年リリーフとしてフル回転しました。実力を発揮できるようになったのは、プロで毎日のようにゲームに臨むなかで、実戦感覚が磨かれたからかもしれません。竹下に対して、球団がこうした変化を期待している可能性があると考えられます。
 
 最後に、広島6位で飯田哲矢投手、オリックス6位で坂寄晴一投手、7位で西野真弘内野手と、今年もJR東日本から3人が指名されました。最近は多くの選手がプロ入りしていますが、それでもチームは勝ち続け、次の中心選手がしっかり台頭してくる。来年も関谷亮太投手が目玉になりそうですし、JR東日本の選手育成や戦いぶりからは目が離せませんね。

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