大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



Home » ニュース » 創志学園のエース西、被災地への思い胸に圧巻16K完封「結果が出せて良かった」【全国高校野球】

創志学園のエース西、被災地への思い胸に圧巻16K完封「結果が出せて良かった」【全国高校野球】

2018/08/09

text By

photo

Kana Yamagishi



<第5日 第3試合 1回戦 ○創志学園7―0創成館●>
 
 第100回全国高校野球選手権記念大会は9日、阪神甲子園球場で第5日を迎え、第3試合では創志学園(岡山)が創成館(長崎)に完封勝利。夏の甲子園初勝利を収めた。
 
 創志学園は4回に藤原駿也(3年)、岡本伊織(3年)、宮崎竜成(3年)、金山昌平(3年)のタイムリー安打で一挙4点を先制。そして7回にも1死満塁から小谷勝星(3年)が右中間へタイムリー二塁打を放ち、相手のエラーも絡んで走者が全員生還。7-0とリードを大きく広げた。
 
 投げては先発の2年生エース・西純矢が、最速149キロの速球を武器に6者連続三振をマークするなど16奪三振。そして無四球で4安打完封と素晴らしい投球を見せた。
 
 創志学園はそのまま7-0で快勝し、悲願の夏の甲子園初勝利。西日本豪雨で被災地した県民に希望を与える1勝を挙げた。
 
 一方の創成館は、3度の盗塁失敗を喫するなどわずか打者28人による攻撃にとどまり完敗。地元・長崎の原爆の日に再び勝利を挙げることはできなかった。
 
 試合後、創志学園の長沢宏行監督は、勝利して歌った校歌について「本当に嬉しかった」と話し、4回の攻撃に関しては「よく連打が出るチームなので、あまり動かない方がいい時は動かないようにしてます」とコメント。また、相手先発の川原陸(3年)の対策は「スライダーを見逃してストレート狙いだった」と球種を絞って攻略した打線に納得した様子だった。そして、完封した西については「褒めるしかない。(相手に)ノーステップ打法をされていたので、その対策が上手くいった」と詳しくは語らなかったが、作戦がはまった投球を称えた。
 
 西日本豪雨による被災に話しが及ぶと、「長崎のチームは原爆の日。ウチは災害で、真備町の方は困っていると思うが、5年連続で岡山は勝っていないので、十字架を背負って戦った。勝てて良かった」と話し安堵の表情を見せた。
 
 先発の西は、インタビューで「立ち上がりはものすごく緊張した」と話し、「その中で声を投球する自分のスタイルで楽しもうと思って投げることができた」と振り返った。甲子園での投球は「感謝の思いを持って投げられた。人生で一番のピッチング。粘り強く三振は気にせずに、いつも以上の実力を出すことができた」。そして、「被災地の皆さんに、まず1勝と思って投げた。結果が出せて良かった」と、被災地への思いとともに夏初勝利という結果を残せたことを喜んだ。