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「社長との約束を果たせた」都市対抗V、トヨタ自動車を支えたベテラン捕手・二葉【横尾弘一のプロにつながる社会人野球】

第87回都市対抗野球大会決勝は7月26日の18時から東京ドームで行われ、豊田市・トヨタ自動車が4-0で日立市・日立製作所を下し、18回目の出場で悲願の初優勝を成し遂げた。

2016/07/29

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グランドスラム



プロで活躍する投手の正捕手として活躍

 黒獅子旗獲得の原動力になったのは、主将でエースの佐竹功年。先発3試合、救援1試合で30回を投げ、自責点1で防御率0.30と、相手打線をまったく寄せつけない好投で歴史の扉をこじ開けた。

 豊田章男社長も駆けつけ、スタンドの応援も大いに盛り上がる中、表彰式を終えると安堵の笑顔を見せた選手がいる。13年目のベテラン・二葉祐貴捕手だ。

 トヨタ自動車野球部が本格的な強化に取り組んで5年目の2004年、PL学園高から入社した二葉は、金子千尋(現・オリックス)や吉見一起(現・中日)のボールをブルペンで受け、精密なコントロールと抜群のキレ味で捕球技術を鍛えられる。そうして正捕手に抜擢されると、上野弘文(元・広島)、服部泰卓(元・千葉ロッテ)、大谷智久(現・千葉ロッテ)、中澤雅人(現・東京ヤクルト)、祖父江大輔(現・中日)らとバッテリーを組み、巧みなリードとパンチ力を秘めた打撃で活躍。2007年には日本選手権で初優勝し、そこから08、10、14年と4回の日本一に輝く。

トヨタ自動車が優勝

 それだけの栄光を手にしながら、都市対抗では勝てなかった。

「豊田社長が就任された2009年、僕たち野球部も決勝まで進みましたが、Hondaに敗れて準優勝に終わった。そのあと、若気の至りと言いますか、社長室に足を運び、『都市対抗で優勝して社長を胴上げします』と宣言しちゃったんですね。それを社長もずっと覚えて下さっていて、毎シーズン何とか実現したいとやってきました」

 そうして2014年には主将に任命されたが、法政大から入社してきた木下拓哉(現・中日)に正捕手の座を奪われてしまう。悔しかった。20代最後だったこともあり、現役引退が頭をよぎったこともある。だが「木下がプロ入りしたら、またスタメンでマスクを被ってほしい」と説得され、バックアップという役割にも前向きに取り組んだ。

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