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カープV逸も来季へ光。チームメイトに多大な影響を与えた黒田と新井の功績

今季開幕前は優勝候補と言われながら4位に終わったカープ。伸びしろ十分の若手や近年伸び悩んでいた選手にとって、黒田・新井の存在はとてつもなく大きなものだった。

2015/10/30

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黒田からヒントをつかんだ野村と福井

 もちろん、百戦錬磨のベテランの姿には技術的なヒントが詰まっている。「これまでコーナーを狙いすぎて窮屈になっていました。そして、フォームまで崩してしまっていました」という野村祐輔も黒田の投球から学んだ一人である。

「ストライクゾーンで勝負する。その中で、少しでもタイミングをずらす、バットの芯を外す。そういうことができれば打ち取れることを学びました。発見でした」

 ストライクゾーン勝負を意識することで、腕は振れ、球の質もアップしていった。
 制球力で新人王にも輝いたローテーションの軸は、背番号15の背中から、マウンドで大事なものを感じ取っていたのである。

 今季9勝をマークした福井優也の復活の陰にも「黒田の言葉」があった。「おまえは120%で投げようとするところがある」――。
「抜群の球質」と「完璧を求める心」。このふたつのポジティブな要素が必ずしもプラスに働かないのがプロ野球の難しさである。「抜群の球質」を持つからこそ、無駄な力を抜き、失敗を受け入れることで成功が収められる。

 考え方を転換することで、福井は生まれ変わった。安定感を手にしたエース候補は先発ローテーション定着を果たし、シーズンを通して活躍した。

 さあ、2016年のカープの戦いが始まった。
 新井は早くも妥協なき練習を再開した。黒田の動向も気になるところではある。
 同時に、両ベテランの熱い魂を肌で感じた選手たちがどんな成長を見せるのかも、ここからの楽しみである。

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