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『左は永野がいる』と言われるように。永野将司は転んでもただでは起きない投手だ【千葉ロッテマリーンズ・若手選手インタビュー連載#8】

2021/07/21

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プロと社会人の違いは「やっぱりパワー」

 そんな永野は、高校、大学を卒業後、社会人野球を経てプロ入り。プロとしては比較的遅いスタートだったが、永野にとってはこの道のりも決して遠回りではなく、彼が通るべき道であった。

「社会人を経験して良かったことは、内野との連携の声掛けの大事さとかサイン。社会人から、大学と違ってサインが複雑になってきたんで、そういうブロックサインとか牽制のサインとかは、だいたい掴んでいて良かったですね。あとはやっぱり、ホンダでピッチングコーチをやっていた真壁(賢守)さんと筑川(利希也)さんっていうコーチがいらっしゃるんですけど、フォームとか、重心移動のラインの持っていき方とか、いろいろそこは、新しい発見ができた。そこで一気に個人的にはつかんだ感じがありました」
 
 一方で、思い描いていた未来とはギャップも生まれた。
 
「25歳でプロに入ったんで、即戦力で活躍できるように(とは思っていた)。焦りはなかったですけど、自分がホンダでやってきたことを、プロの大舞台でも出せるように頑張ろうと思っていたんですけど、そんなに甘くはなかったですね」
 
 広く見ればプロ野球も社会人野球も、野球を生業とする点においては重なる部分も大きいように思えるが、社会人で通用していた組み立てがプロの世界では通用しなかった理由はどこにあるのか。
 
「プロは、逆方向にも大きい当たりを打てるのが(違う)。やっぱりパワーですね。パワーの違いが、社会人ではなかなか、アウトコースを逆方向のスタンドに持っていける人は少ないと思うんですけど、プロはどの球団にも必ず3~4人はいるんで。やっぱりそのパワーの違いは、(プロに入って)驚きました。あとは練習。やっぱりプロは6勤1休で、社会人は仕事、オフシーズンとかもあったりして3勤1休とかなので。質の高い練習はプロ」
 
 プロ入り後は、アマチュアとのゾーンの違いにも苦しんだという。そんな永野にはいまも支えとなっている言葉がある。
 
「プロに入って、ストライクゾーンがアマチュアと違って厳しくなって、一時期ストライクを取りにいこうとして平均スピードが遅くなったんですけど、ナオさん(清水直行氏・当時二軍投手コーチ)に、『荒れてもいいからど真ん中で、お前の持ち味の150(キロの球)を出していけ』と言われて、そこから腕を振っていこうと吹っ切れた」

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