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“考える主砲”山口航輝が9号含む猛打賞。「未来の本塁打王」が歩む進化の軌跡【#27】

2022/08/17

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産経新聞社



考えすぎるタイプ

 今抱えている一番の課題は「(調子の)波が激しい部分」であるという。山口は「考えるタイプ」であるだけに、不調時には深みに嵌ってしまうのかもしれない。自身の性格についても「いろいろ考えすぎちゃう部分があるので、よくない部分かなと思います」とややナイーブに捉えている。
 
 しかし、考えすぎることは果たして“よくない部分”だろうか。
 「波が激しい」ということは、裏を返せば好調の波も来るということだ。その好調の波は、考え抜いた末に見つけた鉱脈ではなかっただろうか。
 
 不調時の波についても、おそらく克服の鍵はすでに山口の中にある。
 
 今年の山口は「代打」と「得点圏」で好成績を収めている。今季の代打成績は、6月8日の逆転3ランなど、代打率.385と高い数字をマークし、スタメン定着の足掛かりとした。そして得点圏ではここまで打率.296、5本塁打。満塁に限れば打率.600にのぼる。ここぞというチャンスで結果を残しているために、少ない打席数ながらチーム3位の打点(33)を誇る。

「代打というのは1打席しかないので、いつもより、より集中して打席に立てていると思います。本当に1球で仕留めないと終わってしまうので、そういった1球を見ていかないように。
 
(チャンスでは)思い切っていくだけだと思いますし、流れに乗ることだけ考えて(打席に入る)。チャンスということは、前のバッターがいい風に繋いでくれていると思うので、うまいことその人たちの流れに乗ってという感じ」
 
 “1打席しかない”代打や、“思い切っていくだけ”のチャンスのように、外的要因によって思考がシンプルになったときには、きちんと結果が出ているのだ。不調の波が襲ってきた時には、こうした環境の力を借りて、スランプ脱出の足掛かりとすることができるのではないだろうか。

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