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東妻勇輔、「思い込みを一新」して動くボールを軸に飛躍。投球スタイルからは想像できない「緊張しい」な一面も【千葉ロッテマリーンズ・若手選手インタビュー連載#12】

2021/10/05

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苦手は西武とオリックス!?

 躍動感あるフォームから力強いボールを投げ込む東妻。打てるものなら打ってみろと言わんばかりの気迫のピッチングが印象的だが、それは意外にも繊細さの裏返し。投球スタイルからは想像し難い苦悩がある。

「(登板前は)あまり細かいことを考えないようにしていて。ルーティンだったり、そういうのを細かくやりすぎると一つ欠けた時にすごい自分でダメージが大きくなると思っているので。“デリケートになりすぎない”、“思い詰めないように”という風にやっているんですけど、自分はだいぶ緊張しいなので、すごい投げる前とかは結構吐き気とか嗚咽もあったりする。なのであんまり考えすぎないようにはしています」
 
 また、対戦相手にも得手不得手があるようで、
 
「自分の中では1年目から西武とオリックスをすごく苦手にしていた部分がありました。今年は回途中で(マウンドに)行くこともありますし、そういった考えをしていると、またすぐに失点につながっちゃうので、そういう考え方はしないように……とは思っているんですけど、少しまだ思っちゃうところもあるのかなと。
 
西武だと、どの打者も一発がありますし、点差が離れていようが一発で雰囲気がガラッと変わってしまうのでそういったところはすごい嫌ですし、オリックスだと元々相性が悪いというか、結構打たれているイメージが残っている打者が多いのでそれがすごく嫌です」
 
と不安を口にする。
 
 それでも、1年目(防御率9.00)、2年目(防御率10.80)と苦手にしていた西武に対しては、今季は8試合を投げて自責点は2。防御率2.25と大幅に数字を回復させている。首位を争うオリックスに対しても防御率3.38と決して大崩れしているわけではない。
 
 むしろ、こうしたナイーブな部分が、現状に甘んじることなく成長を続けていける一つの理由なのだろう。そしてある種の“開き直り”が、走者を背負った場面でもゾーンで勝負できる大胆さに繋がっているのではないだろうか。

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