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【データで選出6月月間MVP】出塁率5割超えのDeNA・オースティンが1位に。オリックス・山本由伸は両リーグ投手で断トツの貢献

2021/07/06

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本塁打以外の長打も量産した杉本。出塁率でも圧倒したオースティン

 評価には(1)セイバーメトリクスの一手法を用いて選手のはたらきを得点換算し、(2)同じ出場機会を「平均的な成績の選手」が担った場合のはたらき(得点)を基準(=0)に置き、どれだけ上積みをつくったかという推定値を算出して行った。「平均的な成績に対して大きな差をつくり」、また「その状態で多くの出場機会を重ねていく」ことで増えていく数値なので、質と量、両面での貢献を見ることとなる。図中の[]で囲んだ項目でグラフが右に伸びているものはリーグ平均以上、左に伸びているものは平均以下だった数値だ。
 

 
 まずは野手から見ていこう。パ・リーグは杉本裕太郎(オリックス)、セ・リーグはタイラー・オースティン(DeNA)がそれぞれ10.2点、15.9点で最大の貢献を果たした。

 杉本は6月通算で5本塁打を放ったが、これはパ・リーグ内で見るとリーグ2位タイと突出した本数ではない。ただ、杉本は6月通算で7二塁打を放ったほか、三塁打も1本記録。長打というくくりで見ると13本はパ・リーグ1位。多くの長打を放ったことが高評価につながった。杉本の打撃は平均的な打者が同じ打席に立った場合と比較して12.1点多くチームに得点をもたらしたと推定できる。
 
 その杉本を大きく上回る15.9点の打撃貢献を残したのがオースティンだ。オースティンは6月5日、6日のロッテ戦で2試合連続本塁打を放つなど6月通算で9本塁打を記録。これは村上宗隆(ヤクルト)の10本に次ぐリーグ2位タイだ。また、6月25日の阪神戦から4試合連続で2安打以上を記録。出塁率は.506と2打席に1度以上の割合で出塁し、チャンスをつくる打者としても機能した。今季は新型コロナウイルスの影響で来日が遅れ、初出場も4月半ばまでずれ込んだが、その後れを一気に取り戻す活躍を見せている。

攻守にオールラウンドな活躍を見せた阪神・近本

 守備評価には同じイニングを守った平均的な同ポジション選手と比較してどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)を使用する。しかしUZRは同ポジションの選手との守備を比較する指標であるため、今回のように異なるポジションの選手を比較する際は、ポジション間の補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。この守備位置補正をUZRに加えたものが守備貢献となる。
 
 守備について、ランキング内では近本光司(阪神)が最高の貢献を残した。近本は30日のヤクルト戦2回表に中村悠平(ヤクルト)が放った打球をダイビングキャッチするなど、月間を通して高い守備力を発揮。守備貢献は5.7点と、ほかの選手に大差をつけている。打撃貢献は7.9点とランキング内では高くはなかったものの、守備で逆転し、総貢献ではセ・リーグ2位のはたらきとなった。オースティンは打撃で圧倒的な差をつくったが、近本は攻守のオールラウンドな活躍で、それに迫っている。

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