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柳田悠岐、秋山翔吾、大谷翔平 パリーグで歴史的な大記録誕生の可能性【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、パリーグで今季誕生しそうな大記録についてだ。

2015/08/16

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柳田の驚異的な数字

 高校野球がヒートアップしているが、NPBも熱い。
 ペナントレースもポストシーズンへ向けた戦いが激化しているが、実は記録の分野でもパリーグの3人の選手が歴史的な大記録に挑戦しようとしている。

 1人目はソフトバンクの柳田悠岐。
 師匠でもある王貞治ソフトバンク会長は“柳田は別格だ”といったが、今年の柳田は数字的にも驚異的な成績を上げつつある。

 柳田は、前に述べたように史上9人目の「トリプル3(3割、30本塁打、30盗塁)」が期待される。今年はセの山田哲人もそれに迫っている。1シーズンに2人の「トリプル3」が出たのは1950年以来だ。
 しかし、柳田はそれだけではなかった。

 安打、長打、本塁打、盗塁、四球、犠打、犠飛など攻撃のすべての指標を加えたオフェンス面の総合指標RC(Run Create)で、柳田は空前の記録に迫ろうとしている。
 NPBの歴代RC10傑に今年の柳田の数字をあてはめる。RC27は、そのRCの数値の打者が27回打席に立ったら何点はいるかという指標。赤色はタイトル部門のリーグ1位。

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 RCの歴代1位は、1986年阪神のバース。2年連続の三冠王に輝いた年だ。
 続く二人の記録は1950年に記録された。この年はラビットボールという飛ぶボールが使われ、打撃記録が急上昇した年だ(「トリプル3」が2人出たのもこの年)。

 現在の成績(最下段の青字)をもとに最終成績を算出すると、今年の柳田悠岐のRCは、史上4位に相当する150.9というすごい数字になる。
 この数字はNPBのほとんどの打撃記録を持っている王貞治のキャリアハイをも上回っている。破天荒な数字だ。
 柳田は安打、長打に関する記録に加えて盗塁も多い。これが特徴だ。

 興味深いのは、これほどすごい成績を上げながら、柳田は1冠もタイトルが取れない可能性が残されている点だ。今のところ首位打者だが、安打、打率にかかわる数字は秋山翔吾、本塁打、打点は中村剛也が高いレベルの数字を積み上げている。
「無冠の最強打者」になる可能性もあるのだ。とはいえ、今年のパリーグMVPには、柳田が一番ふさわしいのは間違いないところだ。

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