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吉田輝星、自分らしさを追究せよ。悔い残るマーティンとの勝負【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#144】

先発陣が足りていない状況でチャンスを与えられ、どのような投球をするのか期待された吉田輝星。今季初登板は、2イニングで7失点(自責点2)という結果に終わった。

2021/04/04

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ローテプランは頓挫!? 謎の調整登板

 2イニング64球、4被安打3四球、7失点(自責点2)。4月2日、ロッテ1回戦、今シーズン初めて先発マウンドを託された吉田輝星が演じたのは無残なKO劇であった。輝星は今季伸びてほしいスター選手だ。外国人選手不在で、ローテが手薄になってる今、先発で経験を積み、1軍の戦力になってもらいたい。輝星が活躍すると世間の注目度が違う。スポーツ紙の見出しになる。現にこの日もロッテ二木康太とのマッチアップが「18番対決」として話題になっていた。
 
 実は僕のヤマ勘では、輝星は開幕シリーズの楽天戦第2戦、田中将大とマッチアップする予定(?)になっていた。何しろ僕は輝星の登板を当て込んで秋田へ行ったのだ。「メジャー帰りの大エース田中将大vs若きライジングスター吉田輝星」の図は球春の彩りとしてピッタリだ。言ったらアレだが負けて元々である。思いっきり勝負してくれればそれでよろしい。
 
 そうしたら開幕週のイースタンで輝星が登板していたのだ。ありゃー、さすがに第2戦の先発はないかぁ、という雲行きだった。ていうかそもそも今シーズンの目玉、田中将大がケガで登板回避になってしまった。「田中将大vs吉田輝星」の目論見はジュッと蒸発である。影も形も残らない。笑うしかないが、僕はコンフォートホテル秋田のシングルルームでしょんぼりだ。予定では「うわああ輝星、田中マー君に投げ勝っちゃったよー」と興奮冷めやらぬ秋田で街の声を拾っていたはずが…。
 
 ファイターズは先発難に加え、打線が湿っており、開幕から低空飛行を続けている。この札幌シリーズ・ロッテ戦はシーズン序盤で大きくつまずくのか、それとも復調のきっかけをつかむか大事なところだった。というのもロッテも開幕5連敗スタートで低空飛行仲間のようなものだったからだ。調子が出ない者どうし、お互いに胸算用的には「相手を食って星勘定を戻してやる」と考えていた。で、初っ端に吉田輝星が食われたのだ。試合は2番手北浦竜次以外はロッテ打線をさっぱり止めきれず、4対16というワンサイドで決した。
 
 吉田輝星をローテに組み込むプランはいったん頓挫せざるを得ないだろう。内容的には(散々だった)3月初旬のオープン戦(巨人戦)によく似ていた。外角低めにズバッと決まる魅力満点のまっすぐもあるのだ。が、基本的には変化球が暴れ、しょうがなくストライクを取りに行った速球は打ち頃であった。
 
 オープン戦で結果が出せず、(前述のように)輝星は教育リーグ、イースタンと2軍戦に出ていた。僕も鎌ケ谷に見に行ったが、短いイニングのリリーフ登板が続き、ちょっと物足りなかった。輝星をリリーフに育てるのだろうかと首をひねった。スポーツライターの小関順二氏はクローザーに適正ありとする持論だが、まさかねぇ。
 
 僕は先発だと思うのだ。だから長いイニングを投げさせて、立ち上がり(球が手にかかるとか抜ける等)の修正力を身に着けてもらいたいし、同じバッターの2巡目3巡目の攻め方。覚えてもらいたい。覚えることはいっぱいあるのだ。しかし今回、1軍のロッテで先発させたのだから、あれは単に調整登板だったのか。ちょっと謎の調整じゃないかな。

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