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注目は犠打の場面 8月から戦い方に変化、軌道修正した楽天・デーブ采配

8月は3連勝でスタートした楽天。日本ハム戦では初戦を落としたが、8月に入ってからデーブ采配にある大きな変化が見られている。

2015/08/10

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難敵相手に必要な先制点

 打席結果に投バゴ、捕バ飛などと記載されるバント失敗打席もゼロ。今季、個人的にバントファウルやバント見逃しストライクを取られて追い込まれ、やむをえず打って出た打席の集計を実施していて、ボックススコアからは確認することができないこのような事実上のバント失敗打席を逐次調べているのだが、それもゼロ。中盤まで範囲を広げても犠打の記録はなく、ようやく出てくるのはスコア0-0で進んだ終盤無死1塁での犠打3つである。(4月7日ソフトバンク戦8回阿部、9回銀次、翌8日同戦の10回牧田)。

 このことで思い出されるは、6月5日敵地広島戦である。楽天は辛島、広島は帰ってきた黒田博樹。試合開始前からゴロ打ちが多い楽天にとって、黒田は難敵になることは容易に想像できた。ゲームは両投手とも素晴らしく、5回までスコアボード動かずの投手戦。結局1-2のロースコアで楽天が試合を落とすかたちになった。悔やまれたのは初回攻撃だ。無死1塁で2番・牧田。ここは手堅く送りバントと思われた。

 しかし、2球目を打ち上げて三邪飛。この後2死2塁としたが、無得点に終わった。黒田のような難敵相手では数少ない出塁をチャンスに結びつけることこそ必要で、先制点が大きな意味を帯びる。先手を取ることが特に肝要のシーンで、大久保監督は牧田にバントのサインを送らなかった。

 つまり、大久保監督は開幕からここまで、先制点を狙う序盤・中盤の無死1塁でバント作戦を採用しないというブレない采配を徹底して貫いてきた。そこにはスコア0-0での無死1塁でチーム出塁率が.417と極めて高かったことも念頭にあったかもしれない。

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