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ダルビッシュも絶賛! 杉浦稔大、新守護神の起用は成功するか【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#142】

札幌ドーム初のオープン戦で、今年のファイターズのリリーフ陣の起用法が見えてきた。 注目すべき点は、9回に杉浦稔大がマウンドに上がったことだ。

2021/03/07

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9回に杉浦で、リリーフ陣の使い方に幅

 杉浦をクローザー起用するメリットは「宮西、秋吉を状況に応じて使える」点にもある。これまでの起用イメージを言うと、例えば「7回玉井、8回宮西、9回秋吉」みたいな感じだ。もちろんこの手もアリなんだけど、宮西&秋吉は相手打線の左右の並びを見て使うと威力倍増なのだ。ファイターズは左殺し、右殺しのスペシャリストとして福田、鈴木を育てているところだが、「左右関係なく使える上に、スペシャリストとしても威力を発揮できる宮西、秋吉」を中継ぎの駒として持っておけるわけだ。
 
 それから去年、秋吉の救援失敗の都度、建山義紀さんがコメントしていた「ていねいに行き過ぎて、相手に合ってしまう」を思い出す。もっと投球で遊んだり、大胆に行ったほうが結果に結び付きやすいという話だった。これは含蓄のある指摘だ。技巧派クローザーの難しさだ。その点、パワーピッチャー型は有利なのだ。球が速いから相手打者のミスショットが増える。技巧派と違って「逆球・結果オーライ」「失投・結果オーライ」がけっこうある。
 
 杉浦は(僕の感覚では「パワーピッチャー」とはちょっと異なるが)強い球の投げられる投手だ。表情や投球フォームに威圧感はないけれど、投げる球はえげつない。9回の1イニングだけだったら相手チームは後略の糸口を見つけるのさえ苦労しそうだ。「新守護神」にピッタリはまりそうに思える。
 
 心配なのは肩だ。元々、肩に故障があって、力を発揮できなかったヤクルトのドラ1だ。ファイターズに来てからは登板間隔を空けて、慎重に使っていた。それを連投必至のクローザーで起用するのだ。果たして「ガラスのクローザー」はもつのか。それとも休ませながら使った甲斐あって、肩痛は十分癒えたのだろうか。
 
 短期的には間違いなく通用すると思うが、シーズン通してのクローザー実績がない分、不安もある。理想を言うと、疲れがたまる夏場くらいに石川直也が戦列復帰して、杉浦の負担を減らしてくれると助かるのだが、それは石川の回復具合にもよるので簡単には言えない。危機管理としては外国人リリーバーを今からリストアップしておくか、長谷川凌汰(石川直也と同タイプ。角度のあるまっすぐとフォーク)の選手登録に踏み切るかかなー。杉浦の負担を考えたら「ダブルストッパー」的なプランが望ましいんだけどな。
 
 たぶん今季は杉浦が三者連続三振で締めて、やったー!、と喜びつつ、その一方でいつも「肩、大丈夫かなぁ」と心配しているシーズンになりそうだ。頑張ってくれ、杉浦稔大!
 

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