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セイバーメトリクスの視点で見るNPB歴代最強打者ランキング ~7位-10位~

2021/02/27

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Getty Images, DELTA・道作



8位:門田博光(1970-1992年)

wRAA通算:521.5 ベスト5シーズン:21位 ベスト10シーズン:15位 
 
 8位は南海などでプレーした「不惑の本塁打王」門田博光となった。門田は前述した山本浩二と同様に、球団の使用球の影響を被った選手である。特に1978年ごろの本拠地・大阪球場は、同リーグ他球場の1/3程度しか本塁打が出ない極端な環境であった。

 アキレス腱負傷でほぼ棒に振った1979年と合わせ、2年間は不振に終わったものの、それ以外のシーズンは満遍なく20~30点台の優れたwRAAを記録。短期間での爆発的な活躍というよりは、安定した打撃成績を長く続けたことにより、通算ランキングで8位に入った。出塁率、長打率、wRAAはすべて3度ずつリーグ首位を獲得している。
 
 キャリア後半にあたる1980年以降は1480試合中守備に就いたのが88試合と、指名打者専業に近い状態であった。ちょうど門田の現役途中で指名打者ルールが導入されたが、導入時点ではこのルールに救われることになるとは思ってもいなかっただろう。
 
 ちなみに門田は1979年のアキレス腱断裂が指名打者転向の原因とされることもある。しかし1978年までの9年間は1072試合出場したうち997試合で外野の守備についている。守備指標Relative Range Factorでも補殺数でも、右翼手として水準以上の成績を残していたようだ。しかし故障前年の1978年にはすでに、106試合中外野守備についたのはわずか46試合となっている。アキレス腱断裂の前年からすでに指名打者へのシフトは始まっていたようだ。故障だけが指名打者転向の原因ではない。
 
 門田が大きな負傷を抱えながらも23シーズンにわたるプロ生活を全うしたことは、指名打者制の「功」の一面と考える。
 

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