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でかすぎる「先発ローテ2枚消え」。金子弌大がピンチを救うか?【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#139】

先発ローテーションが再編成される今季のファイターズ。「有原の抜けた穴」にまず注目が集まるが、実はもう一つ抜けた穴がある。新戦力の台頭に期待しつつも、実力は未知数。だからこそ、先発として実績抜群の金子弌大の起用法に注目したい。

2021/01/24

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沢村賞投手をどこで起用するのか

 で、実は僕が注目しているのは金子弌大なのだ。報道されているところを総合すると、どうやら金子弌大を先発に再転換するプランがあるらしい。金子はもちろんパを代表する投手だ。ファイターズに移籍してきた時点で、既に全盛期は過ぎていたけれど、それでも並の投手ではなかった。オリックスのエースとして君臨していた頃と比べると球速が出ない。が、コンディションが整えばキレのある球を放る。回転が良くて「球に品がある」とイメージだ。
 
 ここ最近は便利使いしてしまった。ショートスターターあり、ロングリリーフあり、敗戦処理あり。また金子本人が「どこでも投げる」「敗戦処理のイメージを変えたい」と意欲的だった。まぁ、ロングリリーフや敗戦処理は負け(てる?)場面に出てきて、試合をキープし、味方の逆転を待つ地味な存在だ。それを沢村賞投手が務めるのは確かに異色ではあった。だけど、そんなに結果出なかった気がするんだよなぁ。敗戦処理でも失点していた。やっぱり、起用が定まってないから調整が難しそうだった。
 
 杉浦のように登板間隔をていねいに見ながら、先発で使っていく方が結局プラスじゃないのかな。昔のファンにしか伝わらない言い方をすれば、(ファイターズ移籍後の)成田文男っぽい感じだ。成田は70年代、ロッテの大エースだった。全盛期を過ぎていたとはいえ、まさかそんな大物が同一リーグのライバル球団にやってくるとは思いも寄らなかった。1981年のリーグ優勝には谷間の先発として貢献してくれた。巨人との日本シリーズにも登板している。記録を見ると81年シーズンの成田は7試合に先発、50回2/3投げて4勝4敗、防御率2.49だ。そりゃもちろん最多勝2回、オールスター出場8回の華やかさはないけれど、立派な戦力ではないか。
 
 かつて僕はエース格の投手を「1万円札」にたとえたことがある。財布のなかに「1万円札」が入っているのと、額は同じでも千円札だけ入っているのじゃ安心感が違う。ファイターズには(チーム事情で)「1万円札」が入ってない時代もあった。そういうときは5千円札を「1万円札」と思って大事にするんだよなぁ。ん? コロナ禍でキャッシュレス決済のすすんだ今、わかりにくいたとえですか?
 
 僕は上沢直之をピカピカの「1万円札」(新札?)だと思うけれど、金子弌大も「1万円札」だと思うのだ。いや、成田文男のことを考えたら「レジで崩して9千2百円くらいになった」状態か。いや、よく財布を見てみると何だかんだ使って「7千8百円くらい」なのか。元は1万円だったんだけどなぁというね。
 
 まぁ、金子がまた16勝5敗で沢村賞獲るとは思っていないのだ。だけど、コンディションを整えて「1万円札」(に近い?)パフォーマンスを発揮してもらうことができないかなぁと考えている。彼なら「先発ローテ2枚消え」のピンチを救ってくれるのじゃないかと。ムシがいいだろうか?

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