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阪神の新助っ人ラウル・アルカンタラとは 2020年はKBOでシーズン20勝、豪速球魅力の先発右腕【成績データ分析】

2021/01/09

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 ストーブリーグに突入したプロ野球。戦力補強で大きな比重を占めるのが、助っ人外国人選手の存在だ。近年は、韓国プロ野球(KBO)で活躍した選手の来日も多く、2020年シーズンは読売ジャイアンツに加入したエンジェル・サンチェス投手が先発として8勝、阪神タイガースに加入したジェリー・サンズ外野手が19本塁打を放ち主軸を担うなど高い貢献度を見せた。
 

 
 2021年シーズンの新助っ人外国人選手では、阪神にKBOで活躍した2選手の加入が決まった。ここでは経歴、KBO時代のデータに着目し、選手の特徴やプレースタイルに迫っていきたい。今回はラウル・アルカンタラ投手だ。

経歴

 アルカンタラは、ドミニカ共和国出身の28歳。身長193センチ、体重100キロ。右投右打の投手だ。2009年にボストン・レッドソックスと契約。2016年にはオークランド・アスレチックスで念願のメジャーデビューを果たしたが、目立った成績は残せなかった。
 
 2019年からはKBOに活躍の場を移し、KTウィズに在籍した同年は先発として11勝を挙げた。そして、斗山ベアーズに移籍した2020年は大きく飛躍。31試合(198回2/3)を投げ、20勝2敗、勝率.909、182奪三振、防御率2.54をマークし、最多勝と最高勝率の投手2冠に輝いた。
 
 MLB通算成績は、13試合(46回1/3)を投げ、2勝5敗、26奪三振、防御率7.19、WHIP1.49。
 
 KBO通算成績は、58試合(371回1/3)を投げ、31勝13敗、282奪三振、防御率3.22、WHIP1.13となっている。

投球スタイル

 1番の特徴は最速158キロ、先発ながら平均球速150キロを超える速球だ。2020年シーズンは、自慢の速球を軸に打者を圧倒。飛躍の大きな要因となった。
 
 変化球は決め球としても多用するスライダーやスプリットを始め、チェンジアップ、手元で動くムービング系など多彩。2019年は172回2/3で27四球、2020年は198回2/3で30四球と制球力も高いが、強気の投球からか死球を多く与える傾向にある。
 
 速球派の先発投手において懸念されるスタミナ面は、平均球速の高さから見ても問題はなく、2020年は1試合平均6.41回を投じた。
 
 また、2020年は走者なしの場面で被打率.236だったのに対し、得点圏に走者を背負った場面では被打率.174と抑え込んだ。ピンチに強さを発揮したことが、打高のKBOで防御率2点台の安定感に繋がったといえるだろう。

イニング別投球内容

 2020年は初回が被打率.191、2回が被打率.156と安定した立ち上がりを見せ、試合の流れを引き寄せた。
 
 不安視されるのが中盤の投球。打者の目が慣れ始めたこともあって打ち込まれる場面が増え、特に後半戦に差し掛かる6回は、被打率.313を喫するなど鬼門となっている。

左右別相性

 2020年は右打者に対して被打率.237、左打者に対しては被打率.226と大きな差はないが、対左打者の被打率の方が低くなっている。2019年も同様の傾向が見られ、要因の一つとして、持ち球のチェンジアップが左打者には外へ逃げる軌道となるため有効的で、投球の幅が広がっている点が挙げられる。