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「新人類」「雑草魂」「メークドラマ」…野球にまつわる新語・流行語大賞の歴代入賞語は?【前編】

2020/12/05

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 2020年の「新語・流行語大賞」が1日発表され、年間大賞には「3密」が選ばれた。そのほか、「鬼滅の刃」や「ソロキャンプ」など、1年を彩った言葉たちがトップテンに入賞している。
 

 
 1984年に創始された新語・流行語大賞。公式サイトによると、同賞は「1年の間に発生したさまざまな『ことば』のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その『ことば』に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰するもの」とされる。
 
 歴代の大賞語、入賞語には野球にまつわる言葉も多く選出されている。今回は、それらの言葉を振り返り、近年の野球界の流れを追う。<前編>
 

【第2回・1985年】

流行語部門・銀賞「トラキチ」
 
「21年ぶりの優勝を遂げた阪神をサポートした熱狂的な応援団」を意味するトラキチ。同年は“神様”ランディ・バースが三冠王に輝く活躍で、阪神を悲願達成へと導いた。受賞者は阪神タイガース私設応援団長の松林豊氏だった。
 
流行語部門・大衆賞「投げたらアカン」
 
「青少年の非行防止キャンペーンとして、公共広告機構が流したテレビCMから生まれた流行語」。通算317勝を誇る近鉄の大投手・鈴木啓示氏が発する関西弁が、大衆の心を掴んだ。
 

【第3回・1986年】

流行語部門・金賞「新人類」
 
『朝日ジャーナル』編集長の筑紫哲也氏により名づけられた、「古い世代とは違う、まったく新しい価値観のもとに行動する若者群」を意味する新人類。旧世代から見ると自分勝手なマイナス面が際立ったものの、見方を変えれば「物おじしない」「クヨクヨしない」「明るい部分だけを見る」などポジティブな面もあった。そして新人類らしさをもって活躍し、言葉のイメージを新たにしたのが、同年にリーグ連覇を果たした西武ライオンズの若い選手たちだった。受賞した3人は、清原和博氏(新人王)、渡辺久信氏(投手三冠)、工藤公康氏(自身初2桁勝利)。
 

【第4回・1987年】

流行語部門・銀賞「『なんぎやなぁ』」
 
85年優勝、86年3位とAクラスの名を連ねた前年までとは打って変わって、開幕から黒星を重ねた阪神。結果この年は最下位に沈んだ。負け続ける阪神を見て、地元大阪のテレビで辛坊治郎氏と森たけし氏が言ったセリフが「なんぎやなあ」だった。
 
特別部門・特別賞「鉄人」
 
広島東洋カープの衣笠祥雄氏が、連続試合出場のプロ野球新記録を樹立し、送られた称号。2215試合を1日も休まずに出場し続けた。最近では、元阪神の金本知憲氏や鳥谷敬内野手(現ロッテ)に「鉄人」の名が冠される。
 

【第7回・1990年】

特別部門・人語一体/語録賞「昭和生まれの明治男」
 
「マサカリ投法」が代名詞の村田兆治氏。数々の故障を乗り越え、何度も表舞台へと返り咲いた。「この野球に賭けた鬼気迫る執念と頑固さを、陰で支えた淑子婦人は『昭和生まれの明治男』と表現」し、人語一体/語録賞に輝いた。村田氏は、現役引退後もその速球は健在で、2016年に行われた始球式では当時66歳ながら球速表示は130キロを超えていた。
 

【第8回・1991年】

表現部門・金賞「川崎劇場」
 
ロッテ・オリオンズがこの年を最後に消滅(翌年から千葉ロッテマリーンズ)。「熱狂的な応援団と名物監督・金田正一のパフォーマンスは、本拠地・川崎球場の名から『川崎劇場』と称されていた」。
 

【第10回・1993年】

新語部門・銅賞「FA(フリーエージェント)」
 
1993年はFA元年だ。一球団に一定期間以上在籍すれば、他球団への移籍の自由が認められる新制度「フリーエージェント」が開始されたのだ。初年度は、中日から巨人へと移った落合博満氏をはじめ、5人が宣言した。
 
大衆語部門・金賞「親分」
 
前年5位から、首位と1ゲーム差の2位まで躍進を遂げた日本ハム。そのチームを率いたのが大沢啓二氏だ。豪快なチーム作りと戦いぶりで観客を魅了し、「いつ、誰が言うともなく『親分』と呼ばれるように」なった。
 
特別賞部門・年間傑作語録賞「悪妻は夫をのばす」
 
落合博満氏の夫人である信子さんが書いたエッセー本のタイトル。猛女である信子さんと、甘えん坊で何でも言いなりになる落合氏のやりとりが軽妙に描かれた。
 

【第11回・1994年】

年間大賞「イチロー(効果)」
 
「振り子打法」、「(カタカナの登録名)イチロー」、「前人未到の200安打」。球界のニュースター誕生に日本中が沸き立った。また、イチローの活躍による波及効果を「イチロー効果」と呼んだ。またこの安打数を機に、「最多安打」のタイトルが制定されることとなった。
 

【第12回・1995年】

年間大賞「NOMO」
 
日本球界から飛び出し、米大リーグに挑戦した野茂英雄氏。ロサンゼルス・ドジャースに入団すると、初年度から13勝6敗、防御率2.54の成績を残し、チームを地区優勝、自身は新人王に輝いた。メジャーの野球を日本の茶の間に持ち込んだのは野茂氏の功績が大きい。
 
年間大賞「がんばろうKOBE」
 
1995年1月、神戸・淡路大震災が発生。地元球団であるオリックスは、このスローガンをユニホームに縫い付け、リーグ優勝を勝ち取った。また、この優勝の立役者となったのはやはりイチローだった。
 
トップテン「変わらなきゃ」
 
「イチローを全面に押し出した、日産自動車の安全・販売キャンペーンのコピー文句」。イチローの革新的なイメージと「変わらなきゃ」のコピーが圧倒的な支持を受けた。
 

【第13回・1996年】

年間大賞「メークドラマ」
 
「“英語の達人”長嶋監督の造語」。7月6日時点で、首位広島とのゲーム差は11.5と開いており、優勝は絶望的と思われた。ところが翌日から、周知のとおりの快進撃をみせ、7月16日には「メークドラマ」宣言。そして言葉通り、奇跡の大逆転優勝を飾った。
 

【第15回・1998年】

年間大賞「ハマの大魔神」
 
横浜ベイスターズが38年ぶりのセ・リーグ優勝、さらには日本一に輝いた。同年は超強力な“マシンガン打線”が大きな武器だったが、もう一つの優勝要因がストッパー佐々木主浩、通称「ハマの大魔神」だった。
 

【第16回・1999年】

年間大賞「リベンジ」
 
“平成の怪物”松坂大輔投手が西武ライオンズに入団したこの年。このゴールデンルーキーは、高卒ながら150キロ台の速球と切れ味抜群のスライダーで勝ち星を重ね、16勝5敗、防御率2.60の高卒新人最多勝記録を打ち立てた。「強気で負けず嫌いの彼が敗戦したゲームのあとに残したのがこの言葉」だった。
 
年間大賞「雑草魂」
 
パ・リーグが松坂なら、セ・リーグはもちろん上原浩治氏だ。エリート街道を歩み、華々しいデビューを飾った松坂に対し、東海大仰星高時代は控え投手でチームも甲子園とは無縁、一年間の浪人生活を経て大阪体育大入りと、地道にはいあがってきた姿が「雑草魂」と表現された。






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