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7月防御率12点台 ライオンズ・高橋朋己、無敗だった守護神に何が起きたのか【中島大輔 One~この1回をクローズアップ】

6月末まで防御率0点台、ライオンズの勝利に貢献してきた守護神の高橋朋己が7月に入り、苦しんでいる。7月25日の日本ハム戦ではセーブがつく9回に登板して、1回3失点で逆転負け。26日はリードを許す展開で志願登板するも1失点。無敗の守護神に何が起きているのだろうか。今回は、7月25日の北海道日本ハムファイターズ戦、9回表の1回をクローズアップする。

2015/07/28

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ベースボールチャンネル編集部



疲れを言い訳にしたら、、何年も50試合投げているピッチャーに失礼

 思うような結果が出ない7月、高橋は自分自身と向き合ってきた。そうするうちに、プロで年数を重ねるなか、自分の投球スタイルが少しずつ変わってきていることに気づいた。
 
 具体的に言えば、プロ入り1年目の13年は「ストライクゾーンは1分割」ととらえていた。それくらい、思い切りストレートを投げ込むことを考えていたのだ。
 
 それが、昨年は内と外の2分割に増えた。変化球を投げる際の感覚がつかめるようになってきたのだ。それをさらに求めてコーナーを狙うようになり、結果、現在の隘路に迷い込んでしまった。
 
 25日より、翌日のほうが状況は悪化しているように感じられる。変化球を投げる際に腕を振れておらず、ストレートを投げるときも体の突っ込みが早いように見えた。
 
 登板前、マウンドで待っていた栗山巧から「全力で行け」と言われて「やったろう」と意気に感じたが、結果、内容ともに決して満足のいくものではなかった。
 
 仮にチーム状態がよければ、2軍調整という手もあるだろう。だが、現在の西武は6連敗中。田邊監督は「彼がしっかりしてくれないとうちの勝ちパターンもなくなってしまうので、短期間でしっかり修正してくれないと」と話している。ほかのリリーフ陣も総じて状態がよくなく、高橋に時間を与える余裕がない。
 
 こうした苦境を、どうやって乗り越えるのか。26日の試合後、高橋はこう話した。
 
「いろいろ考えて投げてもしょうがない。すっきりして、思い切りミットをめがけて投げようと思います」
 
 苦しむ左腕に期待したくなるのは、この2年間、試合終盤の修羅場をくぐり抜けてきたプライドを感じられるからだ。
 25日の試合後、夏場の疲れを聞かれた高橋はこう答えている。
 
「疲れというか、筋肉の張りは取れなくなっています。でも抑えになって2年目で、そんなことを言ったら宮西(尚生=日本ハム)さん、山口(鉄也=巨人)さんのように、何年も50試合投げているピッチャーたちに失礼です」
 
 大げさに言えば、左腕のプロ野球人生を左右するほどの今回の試練。少なくとも、高橋は逃げずに立ち向かおうとしている。

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