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役割を果たしグレートカムバックの上沢こそ、今年のエースにふさわしい!【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#132】

上沢直之と有原航平、2人の「エース級」が揃うファイターズ。ではエースは誰?と聞かれたら、一体どちらを答えればいいのだろうか。

2020/10/18

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大谷移籍後の開幕投手を振り返ると……

 先日、初対面の編集者から「日本ハムのエースって今、誰なんですか?」と訊かれて返答に窮してしまった。先方はあまりパの野球を見てないとのことで、質問自体に大した意味はなさそうだった。「そりゃ福住ですよ。福住の名を知らないハムファンは1人もいません」などとウソを言ってもその場は何とかなりそうだった。が、僕は「あ、エースかぁ…」と言ったきり長考に入ってしまったのだ。
 
 たぶん先方としては、ダルビッシュ有とか大谷翔平のようなビッグネームは知っていて、その後、誰がエースの称号を手にしたのだろうという疑問だったと思う。難しいのだ。特にアメリカ球界に人材が流出するようになってからは、各球団ファンが自問自答を繰り返している。超越的エースがメジャーへ去ってしまった後、ファンは「次点エース」を決めなきゃならない。次点。2番目。ロースターに残ったなかで最善。それをメディアは「次期エース」「エース継承」と書きたて、「役割が人を育てる」(まぁ、実際にそういうこともあると思うが)と人間ドラマに仕立てる。実際には(超越的エースが去り)「エース不在」であるかもしれないのに。
 
 ファイターズの場合、幸い「エース不在」という様相ではないのだ。上沢直之と有原航平、2人の「エース級」が抜群の存在感でローテを守っている。ただどちらをエースと呼んだものかメディアも統一しかねているし、ファンも迷っている。僕が長考に入った理由もまさにそこなのだ。
 
 エースの格を決める開幕投手の回数をいうと有原2回、上沢1回である。大谷の去った2017年以降を列挙すると、17年有原、18年ロドリゲス、19年上沢、20年有原ということになる。これは一見、有原に分がありそうだけれど、ことはそう単純ではない。そもそも2018年のロドリゲスは「有原を立てれば上沢が立たず、上沢を立てれば有原が立たず」の栗山監督が苦肉の策として「中立地」(?)のロドリゲスに白羽の矢を立てたものだ。そして今年の開幕戦、上沢はケガ明けでそもそも候補にカウントされていない。
 
 つまり競って開幕投手の座をものにしたのは、実際には「それぞれ1回ずつ」と考えることも可能だ。また「18年ロドリゲス」がことをややこしくしている。ファイターズ史のなかで「18年ロドリゲス」は永遠の謎として語り継がれるのではないか?

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