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野村ヤクルト優勝で黄金期がスタート セイバーメトリクスの視点で過去の打撃ベスト10を振り返ろう ~1992年編~

2020/10/03

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Getty Images, DELTA・道作



1992年のパ・リーグ

チーム   試合 勝率 得点 失点 得失点
西武    130 .630 658 495  163
近鉄    130 .597 580 515  65
オリックス 130 .488 540 503  37
ダイエー  130 .442 534 637  -103
日本ハム  130 .425 497 579  -82
ロッテ   130 .422 460 540  -80
 

 
 またしても西武が攻守両面で圧倒したシーズンとなった。ベスト10の1位から3位をオレステス・デストラーデ、清原和博、秋山幸二の3人が独占。これは1960年の大毎(榎本喜八・山内和弘・田宮謙次郎)以来史上2回目の出来事で、チーム総得点658は他チームと一線を画すレベルとなった。2年続けてチーム最多得点を記録。最少失点も4年続いている。

 デストラーデがwRAA、1打席あたりの得点貢献を表すwOBA(※3)、長打率、本塁打でリーグ1位。清原が.401で最高出塁率を獲得。秋山も含めた3人合計でwRAAは120点を超えており、出塁率はこの3人がそのまま上位3人となっている。西武勢ではほかに10位に田辺徳雄がランクインしたほか石毛宏典も好調で、前年に続き8人が規定打席に達する強固なオーダーを形成した。
 
 4位のマット・ウィンタース(日本ハム)はこれで来日以来3年連続のベスト10入り。wRAAのスコアはこのシーズンの36.3がベストのものになる。特に長打率はデストラーデにわずか1厘差と迫る.582となっており、欠場数が少なければトップを争う可能性もあった。
 
 5位の高橋智(オリックス)については以前から大器の呼び声が高かったがなかなかチャンスをものにできず、この年が初のランクインとなった。その後の本領発揮を予感させたが、以後は規定打席に1シーズン達したのみと、期待からすると少々残念な結果に終わっている。
 
 ダイエーからは佐々木誠、藤本博史の2人がランクイン。佐々木は.322で首位打者も獲得した。ダイエーは九州移転後5年連続で最多失点を記録してしまうが(この年が4年目)、ベスト10に初めて複数選手がランクインするなど少しずつ野手陣は競争力を向上させている。
 
 ベスト10圏外の選手では、97打点で打点王となったブーマー(ダイエー)が注目される。早打ちの打撃スタイルはこの年も変わっておらず、出塁率.319が規定打席到達組の中で30位に留まったことが響いてwRAAも19位の6.8に留まった。この出塁率では長打率が相当に高くなければ高い攻撃力は維持できない

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