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後半戦、パはソフトバンクの優位変わらず。混セを制するのは巨人か広島か【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、勝負の夏に突入する後半戦についてだ。

2015/07/21

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勝負の後半戦を勝ち抜くチームは

 NPBも後半戦突入した。「後半戦」というとあと半分残っているように思えて実際は、60試合少々だ。3コーナーを回って、最終の第4コーナーも見えてこようかという時期と言える。

 ペナントレースは厳しい夏場に大勢が決まる。これからの1カ月が重要だ。このタイミングで、3つの視点からセ・パ両リーグの後半戦を占ってみよう。

①ピタゴラス勝率=実勢

 以前にも紹介したが、セイバーメトリクス系のデータに、ピタゴラス勝率という指標がある。得失点差に応じて勝敗を割り振り、勝率をはじき出す。ピタゴラス勝率よりも、実際の勝率が高いチームは、「指導者の采配」「幸運」などの要因で、実力以上の成績を残していることになる。反対に、ピタゴラス勝率よりも実際の勝率が低いチームは、采配に問題がある、あるいは運に恵まれていないことになる。

 実際の勝敗とピタゴラス勝率を比較してみる。昨日終了時点。ピタゴラス勝率が.550以上を実勢A、.500以上をB、.450以上をC、.450以下をDと格付けした。

広尾様0721表1

 パリーグはソフトバンクが実際の勝率とピタゴラス勝率が同じのため、実力通り、順当に勝っていることを示している。日本ハムは、実勢のほうがピタゴラス勝率よりやや上で、西武、ロッテ、楽天は実勢通り。オリックスはピタゴラス勝率よりも実勢がかなり悪い。
 全体的にパリーグは実際の順位とピタゴラス勝率がほぼ同じで、順当といえる。

 セリーグは、毎日のように首位が入れ替わる接戦だ。ピタゴラス勝率で考えれば、広島が首位に立っている。得失点差は36で、巨人より26も多い。反対に阪神は、得失点差は-88、データ上では、最下位に沈んでいてもおかしくない。実勢と実際のペナントレースの結果がかけ離れている。通常ならば、勝率は実勢=ピタゴラス勝率に近づいてくるはずだ。今後の広島の動向に注目してもらいたい。

②BABIP=投打の傾向

 ボロス・マクラッケンというセイバーメトリクスの研究家が開発し、「(安打数-本塁打数)÷(打数-本塁打数-三振数-犠飛)」で導き出される。インフィールド内に飛んだ打球が安打になる率だ。
 マクラッケンは「BABIPは実力に関わらず、どの打者、どの投手の数値も、3割前後に落ち着く」とし、インフィールドに飛んだ打球が安打になるのは「運にすぎない」とした。
 つまりBABIPが高い打者は幸運なので、いずれ打率が落ちてくる。投手の場合は運が悪いので、いずれ被打率は良くなってくるという理論だ。大胆だが、この説はほぼ正しいことが証明されている。
 チームのBABIPをもとに、投打の今後の動向を見ていこう。欄外の数字はリーグ平均。

広尾様0721表2

 パリーグは、ソフトバンクは打率はリーグ1位、被打率はリーグ最下位という理想的な数字だが、BABIPを見るといずれも「幸運」の要素が強いことがわかる。ということは、投打ともに調子は下り坂とも考えられる。この傾向は日本ハム、西武にもあてはまる。一方で下位に低迷する3球団は今後、投打ともに改善されると思われるが、急上昇するチームはなさそうだ。

 セリーグは、巨人の打線は今後やや上向くが、投手陣はやや下落する。DeNAは反対傾向にある。阪神は投手陣のBABIPが悪いため、今後好調に転じると考えられる。ヤクルトは横ばい。広島、中日は低下傾向だ。

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