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「返す打者」大田泰示の復調。強打者並ぶ中軸で追撃態勢へ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#127】

開幕から苦しい試合展開が続いたファイターズだったが、いよいよ上位浮上へチームの状態は上がってきている。中でも打線のキーマン・大田泰示の復調は大きい。

2020/08/08

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中田・大田が並ぶ打順は面白い

 僕は「タイシ待ち」だと思っていた。近藤は調子が悪くても四球を選び、出塁率が高かった。バッティング自体が大崩れしているわけじゃないからジワジワ上がってくるだろう。
 
 中田の好調がいつまで維持できるか心配だったが、7月終わりから下降線をたどっていた。左手のマメの状態が悪くて、バットが握れなかったようだ。これは序盤戦の「孤軍奮闘」状況だったら、打線全滅となるところだ。ありがたいことにそうはならなかった。
 
 大田泰示が復調したのだ。今週はカード頭の西武4回戦、4号2ラン、5号3ランと2本のホームランを放って試合を決定づけた。ホームラン談話で「ウポポイのユニホームが打たせてくれました」とサービストークするなど、とてもムードがいい。「返す打者」が2本ホームラン打って5打点も稼いだらそりゃ理想的だ。この西武戦シリーズはクリンアップがしっかり機能してくれた。
 
 打順は5番がハマったと思う。「身体の開き」という課題を技術的なアプローチでも克服していったと思うが、打順もしっくり行ったはずだ。2番と比べてケースバッティングが少ない。シンプルだ。返せばいい。栗山監督は「攻撃的2番・大田」に未練があるかもしれないが、本人はクリンアップのほうが居心地よさそうだ。
 
 極論をいうと、強打者は三振でもゲッツーでも相手投手にプレッシャーがかけられる存在だ。中田と大田が並ぶのはすごく面白い。2人ともゲッツーが多い打者だ。打率もそんなに高くない。が、強打者が並んでいると投手は神経をつかう。ひとりをどうにか片付けても次で手元が狂うかもしれない。これは自軍だとイメージしづらいかもしれない。例えば西武の山賊打線だ。あの主軸は調子落ちしていても嫌でしょう。三振の満振り、ゲッツーの火の出るような当たりに肝を冷やす。ひとつ間違えば…、と恐怖感がわく。
 
 中田と大田、どっちかに引っ掛かれば相手投手は大ダメージなのだ。両方引っ掛かったら、6回戦の初回に3点つるべ打ちだ。中心打者が打つと試合が楽になる。近藤が上がってきた。中田は持ち直しつつある。そして大田泰示が目覚めた。「タイシ待ち」はついにGOサインだ。やっと追撃態勢が整った。ファイターズの逆襲がここから始まる。

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