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故障を乗り越え夢の舞台で躍動 カープの秘密兵器・薮田和樹が持つ、ハートの強さ

この男、後半戦のキーマンになるかもしれない。昨年ドラフト2位でカープに入団した薮田和樹だ。

2015/07/12

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ストレートの原点

 いよいよ秘密兵器がベールを脱いだ。

 亜細亜大学時代は右肘や右肩の故障もあって、公式戦の登板はわずか3試合だった男が、7月1日の巨人戦で5回2失点の好投、初登板初勝利をマークした。

 バッテリーを組んだ會澤翼も、ルーキー右腕の器の大きさを実感した。

「相手は巨人、東京ドームの独特のムード、それでも動じるところがありません。それにストレートの質です。スピン量の多い、質の高い直球だと感じました」

 岡山理科大学附属高校時代から将来を期待される投手だった。原点のストレートが磨かれたのは、高校入学前にあった。もともと細身だった薮田は、周囲の勧めもあり、本格的にウエイトトレーニングに取り組んだ。

『この時期、体重1キロの増量は球速1キロアップにつながるぞ』そんな言葉を信じ、熱心にトレーニングを行った。

「すると、体重が6キロ増え、球速も6キロ速くなりました」(薮田)

 ストレートは140キロを超え、名門・岡山理科大学附属高校に進む彼の大きな武器となった。努力は裏切らないことも実感できた。なにより、このとき鍛えた背筋の強さが、テイクバックの小さな独特なフォームを支えることになった。

 しかし、MAX151キロのストレートを誇りながらも故障に泣かされ続けた右腕を発掘したスカウトの眼力も賞賛に値する。入団前に松本有史スカウトは語っていた。
「150キロを超えるストレート、タイミングの取りづらい独特のフォーム、それに器用なところもあって変化球も良いものがあります」

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