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浅尾拓也、シーズン47ホールド・59ホールドポイントの軌跡。2011年には中継ぎ投手初のシーズンMVPを受賞――NPB歴代1位記録の詳細を振り返る【プロ野球史を振り返る】

2020/05/26

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浅尾47ホールド、59ホールドポイントの全貌は?

 中日・浅尾拓也は2010年シーズンに、藤川球児と久保田智之(ともに阪神時に記録)が持つNPBシーズンホールド記録(46H)、久保田が持つホールドポイント記録(55HP)を更新。同年は最終的に47ホールド、59ホールドポイントを記録し、チームのリーグ優勝に大きく貢献した。
 
 2010年の浅尾は、年間通してセットアッパーの役割を担った。開幕3戦目の3月28日広島戦で同年初登板。2回を無失点に抑え、初ホールドを記録した。3、4月は15試合(18回)に登板し、与えた失点は敗戦投手となった4月16日広島戦の1失点のみという抜群の安定感を見せ、1勝1敗11ホールド12ホールドポイント、防御率0.50を記録した。
 
 5月も緊迫した場面での登板が続いたが、4月同様の安定感を見せた。同月は12試合(14回)に登板し、2勝1敗1セーブ6ホールド8ホールドポイント、防御率0.64を記録。2カ月連続で防御率0点台とした。
 
 6月は11試合(11回)に登板し、3勝7ホールド10ホールドポイントを記録したが、防御率3.27と前月、前々月に比べ、少々安定感を欠いた。7月も12試合(12回2/3)、1勝1敗8ホールド9ホールドポイントを記録するも、防御率4.26と悪化。この時点ですでに50試合(55回2/3)に登板しており、疲れの色が見えた。
 
 しかし8月になると安定感を取り戻し、登板した全試合で勝利、またはホールドを記録した。同月は1失点も与えることなく終え、11試合(11回2/3)に登板し、1勝10ホールド11ホールドポイント、防御率0.00を記録した。
 
 シーズンも佳境を迎えた9月にも好調を維持した浅尾。9月10日横浜戦では同点の8回から登板し、1回1/3を無失点に抑え、勝利投手となった。これでシーズン55ホールドポイントとなり、NPBシーズンホールドポイント記録を更新。また、同25日横浜戦では3点リードの8回から登板し、1回2/3で2失点を喫したが、後続をクローザーの岩瀬仁紀(当時中日)が抑え、シーズン47個目となるホールドを記録。2つのNPB記録を塗り替える偉業を成し遂げた。
 
 同年10月1日に激しいリーグ優勝争いを制したチームは、本拠地ナゴヤドームで勝率.750(51勝17敗1分)と圧倒的な強さを見せた。浅尾も登板72試合のうち40試合(42回2/3)をナゴヤドームで登板。9勝1セーブ24ホールド33ホールドポイント、防御率1.05を誇った。
 
 そして翌年、79試合(87回1/3)の登板で、防御率0.41という異次元の成績を残し、中継ぎ投手としては唯一となるシーズンMVPを受賞することとなる。

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